別に意識して競争している分けではないと思うが、日本の安倍晋三首相がモンゴルと旧ソ連のトルクメニスタン、タジキスタン、ウズベキスタン、キルギス、カザフスタンの5ヵ国を訪問、そのちょっと前に中国の習近平主席がイギリスを訪問した。
安倍首相の訪問した5ヵ国の内、トルクメニスタン、タジキスタン、キルギスの3カ国は日本の首相として初めての訪問だ。
世界的に話題となったのは、何と言っても習近平主席のイギリス訪問で、イギリスはエリザベス女王をはじめ王室を上げて歓迎した。
中国は、原子力施設建設への投資など日本円で7兆円を超す投資を約束、キャメロン首相などイギリス政府の要望に応えた。
ただ、イギリス国内では中国の人権問題や南シナ海埋め立て問題等を指摘するグループが、中国の投資に反対、王室でもチャールス皇太子が歓迎晩餐会に欠席した。
観測筋は、中国からの投資を潔しとしない国民に対し、王室の歓迎と欠席でバランスを取ったのではないかと言われている。
いずれにしても、誇り高き紳士の国イギリスが経済面では新興の中国の投資を当てにするとは、世界の変化は激しい。
一方、安倍首相の訪問により、日揮や三菱商事など5社が資源国のトルクメニスタンで天然ガス関連の1兆円規模のプラントの受注で現地企業と基本合意するのをはじめ、日本企業の中央アジアでの受注総額は2兆円規模になる見通しで、資源が豊富な各国との経済協力を深めることになった。また安倍首相は、その他の訪問国でも、インフラ整備などでODA開発協力を約束した。
安倍首相が訪れた中央アジア5ヵ国は旧ソ連の構成国で、現在も"ロシアの裏庭"といわれ、ロシアと深い関係にあり、また、トルクメニスタンを除く4ヵ国は上海協力機構(SCO)の加盟国でもあり、各国の大統領は9月3日に開かれた中国の抗日戦争勝利70年記念式典にも出席。中国とも安全保障や経済などの分野で連携を強めている。
日本政府内には「日本は地域との関係構築で大きく遅れをとっている」という声もあり、ロシア・中国とつながりが強い 地域に対して、首相の訪問で日本の存在感を高める狙いがある。
また、民間企業幹部も同行し、経済協力をテコにして石油や天然ガスなどが抱負な地域との結びつきを強めて、エネルギーの安定確保につなげたい考えもあるが、地理的、伝統的にロシア、中国との絆が深いこれらの国は、日本が中国と張り合っていることは先刻見通しで、良いとこ取りされる可能性もある。
安倍首相は、世界を俯瞰する外交などと評し、第二次安倍内閣就任後足げく世界各国を訪問しているが、今回の中央アジアを含めてどれだけ成果に結びつけているのかよく分からない。
特に今回の外遊は、山積する重要課題を審議しなければならない臨時国会を開かぬままに日本を空けており、無責任だとの声もある。
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