日刊「NOCUSる」

たとえば5年後、あなたは何を食べている? それは、どこで誰が作る?

前置き

2006-05-28 | 考える
 No.2181
「たまご新聞」No414に添えた写真です。2週間前、こちらに向かう途中、(旧)里美村で撮ったもの。
で、
ついでに本文のほうも転載しておきます。

 畑に麦や大豆や野菜を作ると、数年で収量が下がってくるのを知ってるかな。連作障害っていうんだ。原因はいろいろあって、まだ謎の部分もある。それを避けるために、昔の人は同じ場所に同じ作物を作らないくふう(輪作)などをした。いまは産地化といって、農政が同じ作物ばかりをつくる仕組みを広げたこともあって、農薬や肥料がたっぷり使われるようになっちゃった。
 田んぼ。日本では2000年も3000年も前から米を作り続けてる。それなのに連作障害は起こらない。じつは米は畑でも栽培することができる。陸稲(おかぼ)っていうんだけど、そっちは連作障害がある。つまり、田んぼに水を張るということ、水田という仕組みこそが肝心だというわけだ。
 あらためて皆さんのまわりをみまわしてみよう。何枚にも仕切られて田んぼが広がってるよね。その一枚一枚の全部に、水を届けるための用水路が網の目のようにつながっていることを知って驚いてほしい。遠く山のほうから何キロメートルにもわたる水路を作り、たくさんの人が共同して、何十年も何百年も守ってきたものなんだ。
 たとえばジャガイモは、種いもを4つに割って植えて、そこから10個ずつのイモが収穫できたとしても、40倍にしか増えない。うちで作っているジャンボニンニクなんて、4分の1くらいは種として残すくらい。さっぱり増えない。
 ところが米は、一粒の種をまくと、茎が20本以上にも増えて、それぞれに100粒くらいずつの実がつく。つまり2000倍にも増える。
 皆さんは世界遺産というものを習ったかな。どんなものを知ってる? エジプトのピラミッドとか、日本では去年、北海道の知床が登録されて話題になったよね。05年8月の資料だけど、世界で812件あるんだって。知らないとこのほうが多いけど、きっとどれも貴重なものなんだろうね。でもね、それに加えて・・・
 いま世界では8億人以上もの人が栄養不足の状態なんだって。さらに将来は、もっと食糧が不足するといわれてる。そんな地球上にあって、連作障害もなく収穫量も多い米という作物、それを作る水田という仕組みは、日本だけでなく世界の人々のためにも、とても大事なもので、それこそ生きた世界遺産ではないかと思うんだ。
 と、そのくらいすごい仕組みを利用して、皆さんは稲づくりをしているんだということを頭のかたすみにおいて、体験学習に取り組んだら、作業の一つ一つがとても大事に思えてくるんじゃないかな。
 それでは本題に入ります。
      
 と、前置きをして米づくりの話をしようと思っています。
 自分の子どもが通う学校にはほとんど行かないくせに、なぜか日立の市民教授ってやつになってて、これまでも諏訪小学校茨城大学で特別授業をする機会がありました。じつは来週、3年前にも行ったことがある豊浦小学校で話すことになっています。さて・・・


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