隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

0826.嗤う闇

2007年09月06日 | 短編集
嗤う闇
読 了 日 2007/09/06
著  者 乃南アサ
出 版 社 新潮社
形  態 単行本
ページ数 252
発 行 日 2004/05/20
ISBN 4-10-602657-0

 

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者の本はこれで3冊目だが、最初に読んだ「幸福な朝食」('88年日本推理サスペンス大賞受賞作 91.参照)が特異な女性心理を描いた暗く、ちょっと怖い作品で、どちらかと言えば余り僕の好みではなかったので、もうこの作者の作品は読むこともないだろうと思っていた。
ところが、2001年6月にNHKハイビジョン放送で放送されたドラマ「凍える牙」を見て、心惹かれるものがあり、だいぶ遅くなったが昨年8月にその原作を読んで、ドラマでは出し切れなかった心理面などが、掘り下げられて描かれた点などドラマ以上に感激した。
登場するメインキャラクターの機動捜査隊員・音道貴子の魅力にも抗しがたく、またいつかシリーズを読もうと思っていた。僕の悪い癖で、読みたいと思う本がネットのオークションや、古書店にあると、小遣いの許す限り買ってしまうから、読むスピードが追いつかず、未読の本がたまってしまうことになるのだが、なおかつ、うっかりすると持っていることを忘れて同じ本を買ってしまうこともあるのだ。実はこの本もそうして2冊買ってしまった。

ずっと前に、多分テレビだったと思うが、否、古い話だから雑誌だったかもしれない、女優の日色ともゑさんの話だ。テレビドラマ「ペリー・メイスン」の主役がレイモンド・バー氏だったことで、彼女がそれまで抱いていたイメージと違ってがっかりしたという話があった。
それに伴って、ペリー・メイスンシリーズを読むようになったのは、お父さんの影響だったと、日色さんの話の中に、お父さんが次々とHPB(早川ポケットミステリーブック)を買って、一度読んだ本をまた買ってしまうことを話されていた。同じことを僕もして、そんなことを思い出したのだ。

 

 

それはともかく、本書は音道貴子シリーズとしては3冊目かそれ以降の作品らしい。
音道刑事は機動捜査隊立川分駐署から下町の隅田川東署に転勤したことになっており、界隈のその地域特有の環境や人間関係を背景に発生する事件を、若いキャリアなどとの関係も踏まえて事件解明に立ち向かう音道の活躍を描く、4篇の連作短編集だ。
ここでは、事件捜査のほかに貴子の恋人との関係や、署内の人物描写なども細かく取り入れられて、雰囲気を盛り上げる。恋人の羽場昂一に関しては表題作「嗤う闇」で、事件の関係者となり、事件解明に一役買う立場となっており、貴子との心地よい関係が描かれる

 

 

初出(小説新潮)
# タイトル 発行月・号
1 その夜の二人 2002年10月号
2 残りの春 2002年4月号
3 木綿の部屋 2001年12月号
4 嗤う闇 2003年8月号

 

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