春期限定いちごタルト事件 | ||
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読 了 日 | 2009/03/07 |
著 者 | 米澤穂信 | |
出 版 社 | 東京創元社 | |
形 態 | 文庫 | |
ページ数 | 251 | |
発 行 日 | 2004/12/14 | |
ISBN | 4-488-45101-2 |
者の「犬はどこだ」は2006年だったから、当然のごとくすっかり忘れたが、この連作を読んで、また後で読み直してみようかという気になった。本書は、中学3年生から高校1年生になったばかりの男女、小鳩常悟朗君、小佐内ゆきさん二人が遭遇する謎の物語だ。五つのエピソードの前後にプロローグとエピローグがついて長編のような形式となっているがエピソードはそれぞれ一話完結となっているから、連作集といって良いだろう。
この作品はこの後、夏期、秋期と続いてシリーズをなしているので、冬期まで書かれるのだろうと想像する。この春期だけを読んだ限りでは、小市民を目指すという二人はまだ成りたての高校生であるにもかかわらず、小市民を目指すというおかしな心構えを持つようになった過去の経緯(いきさつ)があるようだ。学園ミステリー、あるいは青春ミステリーとでも言おうか、いわゆる日常の謎をとらえたライト感覚のミステリー集である。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/05/b8/b4ec98792d6e79306238ce5aa9fb40bc.jpg)
この高校一年生のコンビは別に恋愛関係にあるわけでもなく、また、お互いに依存する関係でもない、というところが面白い。それでも連れ立って行動することが多いのは、小市民を目指すというおかしな目標を持つことに関して、それまでに波乱に富んだ?生活があったのか。そうしたことはストーリーが進むにつれて僅かずつ語られていくのだろう。
さて、彼らの前に現れる謎とはどんなものなのか、一例を挙げれば、「おいしいココアの作り方」。ここでの謎は、偶然町で出会った小鳩君と小佐内さんは共通の友人となった堂島健吾から家に招かれた。そして、健吾はココアを入れてくれたのだが、彼はそこでおいしいココアの作り方の薀蓄を語った。トイレに行った小佐内さんが、キッチンで健吾の姉・知里につかまってキッチンのシンクが乾いているのに、健吾がどうやってココアを入れたんだろうという話になる。ココアパウダーを暖めたミルクで溶くという健吾の方法ではどうやったって、ミルクパンかスプーンを洗った後がなければならない。それなら必ずシンクが濡れているはずだというのだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/05/b8/b4ec98792d6e79306238ce5aa9fb40bc.jpg)
まあ、こんな謎のほかに全編を通して小佐内さんが盗まれた自転車に関わる謎もあって、謎解きをしないことを自分に誓って小市民になろうとしている小鳩常悟朗と小佐内ゆきのまえには次々と不可解?な謎があらわれて、小市民への道は険しい?
謎解きもさることながら、こうしたストーリーを面白くする要因のひとつはキャラクター造詣だろう。表紙イラストが二人のキャラクターを物語っているが、シリーズが進むに連れてかわいいだけではないキャラクターに発展していきそうな予感もする。
# | タイトル |
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1 | 羊の着ぐるみ |
2 | For your eyes only |
3 | おいしいココアの作り方 |
4 | はらふくるるわざ |
5 | 狐狼の心 |
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