隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

0552.わが一高時代の犯罪

2005年02月13日 | 短編集

 

わが一高時代の犯罪
読 了 日 2005/02/13
著  者 高木彬光
出 版 社 角川書店
形  態 文庫
ページ数 304
発 行 日 1986/07/20
ISBN 4-04-133818-2

 

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こういう本を手に取ると、遥かな昔を思い出してほんの少し胸をときめかす。貧乏でほしい本を思うように買えなかった時代を。
そして、僕はその頃貧乏を恥じていた自分を、今とても恥ずかしく思い起こす。
「貧乏は恥にあらず・・・」これは刑事コロンボ「逆転の構図」の中で、ビトー・スコッティ扮するところの、哲学者と呼ばれるホームレスの酔っ払いが教会の救済所で、コロンボに向かって言う台詞だ。
が、僕にとってはそうでなかったことを、現在でも思い出すたびに切なくなるほどだ。

そうした時代にやっとの思いで本を手に入れたときの気持ちを、今もたまに思い起こすことがある。
文庫本を手にして初めてページを開いたときに、かすかに匂う印刷インキのにおいを今でも忘れることはできない。比較的安価に楽に手に入れることのできる古書店のチェーン店が幾つもある今は、あの当時と比べて幸せなのだろうか?

 

 

夢中で読んだ著者の作品を手にする時、万感の思いが去来する。
若い頃読んだ本は同じタイトルながら内容も同じ短編集であったかどうかは全く覚えていないが、本書は、表題作のほか、下記に示す如く、4ペンが収録された短編集だ。全頁のおよそ半分を占めている表題作は。短編というより中篇といったほうがいいだろう。
当時の僕は、国内の作品では高木彬光氏の作品を一番多く読んでいる。この作品もタイトルに引かれ読む前からある種の憧れのようなものがあって、夢中で読んだことを覚えている。
今回何十年ぶりかで再読して、昔の感動をいささかながらも蘇らせることができたようだ。

 

 

収録作
# タイトル
1 わが一高時代の犯罪
2 幽霊の顔
3 月世界の女
4 性痴
5 鼠の贄

 

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