水産北海道ブログ

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石狩湾系ニシンの漁況予報 序盤5・6年魚、中盤4年魚、終盤3年魚で前年上回る

2019-12-25 16:22:05 | 系統通信

 来年1月中旬から始まる石狩湾系ニシンは、漁期序盤は大型・高齢群が主体、中盤は4年魚主体、終盤は3年魚主体で来遊量は前年漁期を上回る見通しにある。

 道総研の中央・稚内水試は、このほど令和2年1月〜3月の石狩湾沿岸に来遊する日本の漁況予報を発表した。ポイントは次の通り。

①  漁期序盤(1月)は5年魚(2015年級)と6年魚(2014年級)の大型・高齢魚が主体となり、来遊量は昨漁期並み〜若干上回る見通し。ただし、この時期の漁況は水温分布などに大きく影響される。

②  漁期中盤(2月)は4年魚(2016年級)主体となり、来遊量は昨漁期を上回る見通し。

③  漁期終盤(3月)は3年魚(2017年級)主体となり、来遊量は昨漁期を上回る見通し。

今年10月に留萌沖で実施した試験調査船「北洋丸」によるトロール調査では、29㎝モードの4年魚が38%、尾叉長24㎝にモードの成る3年魚が36%と大半を占めた。この結果を用いて今漁期の来遊状況を予測し、6年魚は昨漁期まで漁獲の主体で、豊度が高いから「増加」、5年魚は2015年級で昨漁期(2014年級)に比べ「減少」、4年魚と3年魚は2009年度から続く高い資源水準にあるとしている。

 道総研では「漁模様は漁期直前の海況に大きく左右されるため、今漁期も地域間で好不漁感の違いが大きくなると予想されるが、石狩湾沿岸で水温分布などに大きな異変がなければ、漁期を通じて昨漁期を上回る来遊があり、特に中盤〜終盤にかけて来遊が多くなる」と見ている。

 なお、昨漁期の石狩湾ニシンは4月末までに1,854㌧で前年比74%だったが、沖合での混獲と含めると、2016年度と同程度で、2008年度以降の高水準の範囲にあったと判断される。


令和2年度北海道開発予算案 水産基盤整備は262億円、補正を含め331億円

2019-12-24 12:08:11 | ニュース

 政府が閣議決定した令和2年度北海道開発予算案は、総額で6,393億円と前年度に比べ0.5%増となった。農林水産業・食関連産業の振興、自然災害からの復旧・復興、防災・減災、国土強靱化に必要な社会資本整備などに重点を置く。通常の予算に臨時・特別の措置644億円を加算したほか、令和元年度補正予算1,316億円と合わせ切れ目のない取り組みを進める。

 農林水産基盤整備は1,337億円で、そのうち水産基盤整備(補助・直轄)は262億円。補正予算では水産基盤整備に約69億円が計上され、合わせて331億円の規模を確保した。これに農山漁村地域整備交付金114億円から農林水の各分野に配分され、漁港の高度衛生管理化などによる輸出促進、藻場造成などによる生産力の強化を図る。


令和2年度水産関係予算の概算決定 水産関係2,034億円と6%減、補正合わせ3千億円 資源管理と成長産業化に重点、公共も1,100億円確保

2019-12-24 12:04:15 | ニュース

 政府は20日、102兆6千億円規模の令和2年度予算案を閣議決定した。2年連続で100兆円を超え、過去最大となった。

 このうち、農林水産関係予算は2兆3,109億円で、前年度当初予算とほぼ同額で、内訳は公共6,989億円、非公共1兆6,120億円と前年並み。

 水産関係予算は、2,034億円で前年度比6.1%の減となったが、令和元年度補正の971億円を加えると3,005億円(前年度3,045億円)で、2年連続の3千億円規模を確保した。公共は892億円で前年度比11.5%減だが、補正を加えると1,139億円。非公共は1,143億円で同1.5%減だが、補正を加えると1,867億円。

 「水産改革の実行による適切な資源管理と水産業の成長産業化」をめざす予算編成の主な予算項目は、「1新たな資源管理システムの実施」として「資源調査・評価体制の抜本的な見直し」に66億円(前年度70億円)、補正予算でも48億円を計上した。また「漁業経営安定対策の強化」に254億円(同181億円)、補正211億円を盛り込み、漁業収入安定対策事業(積立ぷらす)には142億円(同69億円)と大幅に加算した。

 「2成長産業化に向けて重点的に支援」として「漁業・漁村を支える人材の育成・確保」に7億円(同8億円)、「漁船漁業の構造改革」に30億円(同51億円)、補正21億円、「沿岸漁業の競争力強化」に120億円(同154億円)を計上し、「浜の活力再生・成長促進交付金」に20億円(同54億円)、「水産業成長産業化沿岸地域創出事業」(新リース事業)には100億円と前年同額の予算をつけた。また、「水産業競争力強化のための施設整備」には補正で40億円を計上している。そのほか「戦略的な養殖業の成長産業化」に3億円(同4億円)、「内水面及びさけ・ます等栽培資源総合対策」に13億円(同14億円)を計上した。

 「3スマート水産業」等の推進として「水産業におけるICT等の先端技術の活用とデータ連携基盤の構築」に5億円(同5億円)、「水産バリューチェーンの生産性向上」に8億円(同12億円)、補正で2億円をつけた。

 「4水産基盤の整備、漁港機能の再編・集約化と強靱化の推進」として「水産基盤整備事業」(公共)に711億円(同710億円)、補正で190億円、臨時・特別の措置73億円、「漁港の機能増進」に10億円(同26億円)となっている。

 「5漁業取締体制の増強、国境監視機能等の多面的機能の発揮、捕鯨対策」として「外国漁船対策等」に180億円(同168億円)、補正4億円、「水産多面的機能の発揮等」に48億円(同55億円)、「捕鯨対策」に51億円(同51億円)を確保した。


令和元年度北海道開発補正予算 総額1,316億円、水産基盤整備68億8千万円

2019-12-16 16:21:13 | ニュース

 国土交通省北海道局は13日、北海道開発予算の令和元年度補正予算を発表した。総額は1,316億円で、災害からの復旧・復興と安全・安心の確保、農林水産業の成長産業化、輸出促進などに重点を置く。漁港の強靱化やインフラ整備、水産物輸出促進のための基盤整備を進める。

 農林水産基盤整備に606億6,700万円を計上、このうち水産基盤整備は68億8,200万円、農山漁村地域整備は13億7,900万円となっている。


令和元年度補正予算を閣議決定 水産関係971億円、漁船リースなどに270億円

2019-12-16 16:19:57 | ニュース

 政府は13日、臨時閣議で3兆2千億規模の令和元年度補正予算案を決定し、来年1月の通常国会に提出する。総合経済対策の歳出は4兆3千億円で、国土強靱化関連で1兆1520億円、「農林水産業の成長産業化と輸出力強化の加速」に3,428億円に投ずる。

 農林水産関係の補正予算は、総額5,849億円で、平成30年度第2次補正に比べ822億円上回った。このうち、公共が2991億円、非公共が2858億円。30年度補正に比べ、公共が620億円上回っている。

 農林水産省補正予算のうち、「総合的なTPP等関連政策大綱」に基づく国内対策は3,250億円で、水産関係では「水産物輸出拡大緊急対策事業」、「水産業競争力強化緊急事業」などが計上された。

 水産関係の補正予算は、こうした国内対策(輸出・成長化促進)を含め総額で971億円となっており、30年度第2次補正に比べ94億円上回った。公共の「水産基盤整備事業」は80億円だった。

 主な事業は、「水産業競争力強化緊急事業」に270億円(同324億円)を計上し、「広域浜プラン」に基づく中核的担い手に対する漁船リース、機器導入が5年連続で予算化された。内訳は漁船導入179億円(同201億円)、機器導入40億円(同56億円)、施設整備40億円(同32億円)となっており、リース方式による漁船導入は減額されたが、浜の要望をほぼ充足できる予算規模が確保された。また、機器導入には従来の省力・省コスト化機器に加え「海況情報を迅速に把握するため海上ブロードバンド用機器」が盛り込まれた。

 輸出促進関係は、農林水産補正予算で「高品質な国内農林水産物の輸出等需要フロンティアの開拓」としてパッケージ化されており、輸出拠点の整備に248億円を計上。このうち「水産物輸出拡大緊急対策事業」(一部公共)に140億円(30度第2次補正36億円)を計上し、水産物輸出の基盤整備に110億円(公共)、大規模流通拠点(第3種漁港や港湾)や養殖生産拠点の施設整備に28億円、国際市場に適用した水産バリューチェーンの構築に2億円を投ずる。また、「輸出向けHACCP等対応施設整備緊急対策」に68億円を計上し、加工食品の輸出拡大に必要な食品製造事業者のHACCP対応施設の新設、改修、機器の整備を支援する。

 防災・減災関係では、「漁業地域の防災・減災」(公共)に80億円(および農山漁村地域整備交付金34億円の内数)を計上し、防波堤などの耐浪化対策、暴風対策を進める。「海岸堤防等の防災・減災対策」(公共)に5億円(同)を計上し、内水氾濫防止、高波による倒壊防止の補強などを支援する。

 経営対策では、「漁業収入安定化対策」に211億円(同29億円)を計上し、「積立ぷらす」と共済掛金の追加補助によって記録的不漁や台風等の災害が多発する中、計画的に資源管理等に取り組む漁業者の経営を支えるため、漁獲変動等による減収を補てんする。

 そのほか「新たな資源管理の推進」48億円、「漁業構造改革総合対策」21億円、「韓国・中国等外国漁船操業対策」50億円、「沖縄漁業基金事業」20億円、「漁業取締活動の強化」4億円などが盛り込まれている。

 なお、令和2年度予算の概算決定額は、17日の大臣折衝を経て、20日までに閣議決定される予定。水産関係は2,033億円と見られ、前年度に続き補正と合わせ3千億円の大台を確保する。