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網走呼人地区重油漏れ事故に対する指導強化を知事に要請 漏洩した重油の現状を調査し、速やかに汚染土壌の全量撤去を

2022-09-22 14:02:04 | 系統通信


 今年3月に発覚した網走市内の観光ホテルで8千リットルの重油が漏れた事件に対し、地元でつくる網走呼人地区重油漏れに関する対策協議会、道漁業環境保全対策本部(岩田廣美会長・本部長)の代表は9月20日、鈴木直道知事にホテルを所有するブリーズベイホテル株式会社(本社・横浜、津田則忠代表取締役)に対し、漏洩した重油の現状と汚染状況を調査のうえ速やかに汚染土壌の全量撤去を進めるよう指導強化を求めた。
 道庁を訪れたのは、水谷洋一網走市市長、新谷哲也網走漁協代表理事組合長、清野一幸西網走漁協代表理事組合長、石塚治北見管内さけ・ます増協専務、菊池元宏道漁連副会長、川合正人網走市農林水産部長、伊藤唯欣北見管内漁協組合長会事務局長、渡部貴聴対策協議会事務局長ら。要請書によると、重油8千リットルと大量に漏洩したホテルは、わずか100m先にサケ・マスふ化場、300m先に網走湖が位置する。網走湖はシジミ、ワカサギ、シラウオが道内最大の水揚げを誇り、西網走漁協からワカサギの稚魚が全国50ヶ所に供給される。また、北見管内増協は、網走川にそ上する秋サケ親魚からは3,100万尾の稚魚をふ化させ、管内はもとより親魚不足の根室、釧路、本州にも一部供給するなど全道、全国の栽培漁業拠点となっている。
 道は、オホーツク総合振興局が7月7日に水質汚染防止法に基づき、事業者に行政指導を行ったが、事故発覚から6か月を経過した現在も漏洩した重油の現状把握や地下水モニタリングも実行されず、汚染土撤去に向けた具体的対策も示されていない。事業者は8月24日の説明で「コスト高を理由に汚染土の全量撤去を行わない」ことを明言したという。
 要請後の記者会見では、水谷網走市市長が「知事からはこの問題を全庁的に取り組むとの回答をもらい、今後の進展に期待している」とした。
 新谷網走漁協組合長は「半年が経過しても抜本的な対策がなく、雪が降る冬になれば撤去は不可能になる。もし被害が出れば単年度で65億円と推定され、数年にわたり続く。その影響はサケ・マス、ワカサギなどを通じて全国に及ぶ。道内の他地域でも起こりうる事故であり、知事には勇気をもって立ち向かっていただきたい」と述べた。水谷市長は「道が専門家、事業者と一体となって正確な調査のもとに除去に取り組んでもらいたい」と知事への期待を滲ませた。
 同日午後の道議会本会議で代表質問に立った網走市選出の佐藤伸弥道議(北海道結志会)が等今回の重油漏れ事故に対する知事の見解を質した。佐藤道議は「8千㌧の重油漏れのうち、ホテル側は5月中に23㌧を取り除いたが、ボイラー室の真下にある汚染土の除去には至らず、流出した重油の滞留場所が特定されていない」とし、重油が周辺に漏れ出るという最悪の事態への影響や被害への対応を問い、住民が求める撤去への道の積極的対応を求めた。鈴木知事は「漁業被害を懸念する地元の不安に寄り添いつつ、網走市をはじめ関係者と十分連携して対応したい」と答弁した。
 
水谷網走市長(左)と新谷網走漁協組合長

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