水産北海道ブログ

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漁業経済学会の第64回大会シンポジウム 80人が参加し沖合漁業で議論

2017-06-05 00:57:16 | ニュース

地域漁業に沖合漁業を位置付け、総合的な視点で将来展望
沖底、まき網漁業の現状と課題、新たな方向性の議論深める

 漁業経済学会の第64回大会シンポジウムが6月2日、東京海洋大学で開催され、「日本漁業における沖合漁業」の再考–沖合底びき網漁業と大中まき網漁業を中心に–」をテーマに報告を受け議論を交わした。研究者や行政、水産団体の関係者ら80人が出席した。

  開会に当たり、長谷川健二代表理事(元福井県立大学)が「今回の大会シンポは、沖合漁業を取り上げ、久し振りに議論するが、新しいアプローチから活発な報告と質疑、討論を期待する」と挨拶した。座長の岡本勝氏(いわし食用化協会)が「できる限り、会場の参加者を含め白熱した議論をお願いしたい」と述べ、さっそくシンポに入った

  まずコーディネーターの濱田武士氏(北海学園大学)が「今回取り上げる沖底、大中まき網は沖合漁業の半分近く、日本漁業生産の20%以上を占めるが、縮小再編が進み、漁船の高齢化も著しい」と現状認識を述べ、経営対策、漁業管理、漁業調整の動向を紹介し「地域漁業としての沖合漁業を位置付けた総合的な視点による今後の漁業政策のあり方、方向性を検討する必要がある」とシンポの狙いを話した。このあと 5人報告を聞いて、3人からコメントを受け、会場の出席者を交え活発に総合討論を行った。

 翌日の一般報告では、根海共29号におけるホタテ貝漁場造成事業、大分県「かぼすブリ」のブランド化、クロマグロをめぐる量販店の商品化政策、スルメイカの漁獲量減少の加工業への影響、「もうかる漁業創設支援事業」の特徴と課題、中国国内の内水面養殖(カニ養殖)の展開、神奈川県小田原市の内水面漁協支援などの内容充実した研究成果が報告された。2日間で延べ100人を超える参加者を数えた。

 また、大会後の総会で、新しい漁業経済学会の代表理事(1期2年)に宮澤晴彦氏が就任した。宮澤氏は1955年生まれの62歳で、北海道大学大学院水産科学院教授。専門は水産経営、漁業構造、漁業管理。