降版時間だ!原稿を早goo!

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★きっと石破茂さんも読んでいる『人類資金』

2013年08月23日 | 新聞/小説

福井晴敏さんの書き下ろし最新刊『人類資金1・2』(講談社文庫=写真)を読んだ。
スゲー。軍事オタク&諜報大好き福井晴敏エンターテインメントの到達点! という感じ。

終戦の日、日銀地下金庫から消えた莫大な金塊は混乱と復興の名のもとに膨張し、「M資金」と囁かれるようになった。
それから70年を経て、金融詐欺師・真舟の前に「M」と名乗る男が現れた。
「閉塞と混迷の今だからこそ必要。M資金を盗み出してほしい。報酬は50億円。一緒に世界を救いませんか」
M資金に関係する組織に師を殺害された真舟は、地下に蠢いていた巨大組織と、知らず知らずのうちに対決するようになった........。

国防をテーマにした『亡国のイージス』、戦争を描き切った『終戦のローレライ』もすごかったけど、
最新作は、経済と革命をテーマにした、空前絶後の骨太ストーリー。福井さんでないと書けません(かな)。

映画原作として書き下ろされているが、
例えば、文庫『2』の、福井エンタメ真骨頂99ページ以降をどう実写で見せるのだ──以下、引用します。


いきなりバイクの前に飛び出してきた五十絡みの女性が、辛うじてブレーキをかけた400Rの鼻先で呆然と立ち尽くしていた。(中略)
脂肪を蓄えた体に野暮ったいパンツという出で立ちは、近所のおばちゃん以外の何者でもない。(中略)
怪我はないか、とかけるつもりの声を待たず、おばちゃんは不意に形相を変え、無言で400Rのハンドルに手をのばしてきた。(中略)
今度は鋭い蹴りがおばちゃんの足から繰り出された。なんだ、こいつは。(後略)


まるで戦闘マシンのように、殺意を持って真舟らを襲撃する御徒町のおばちゃん!
映画版では誰が演じるのだ? ハリセンボンでも面白いぞ(笑)。

講談社文庫のダブルカバーにも出ているけど、企画当初から
「主演・佐藤浩市しかいない!」
が、福井さん・阪本順治監督で決まっていたという(巨大組織に抗う、渋い40親父役なら、佐藤浩市さんしかいませんね、確かに)。
市ケ谷、桜田門がそれぞれ組織を挙げて真舟らを追跡する圧倒的スケールの『人類資金2』──とにかく早く『3』を読みたいし、早く映画を観たいのだ。
(この福井晴敏さん最新刊、きっと自民党・石破茂氏も読んでいると思う)。



^_^