【4月14日付の続きです】
いったい印税はいくらなのだ?と電卓を叩きたくなる(笑)60万部『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』( 村上春樹さん、文藝春秋1785円=写真)を読了せり。
ミステリー的味付けで面白かった!(→村上さんおなじみの暗喩が比較的少なかったからかも)。
後半、多崎つくる君が新宿駅ホームで、タグ・ホイヤーを見て時間を確認するシーンがある。
「ほぉー、村上さん、このブランドを選びましたか」と思った。
名古屋の父親の形見なんだけど(以下、本文引用します)、
「その腕時計は彼が父親から引き継いだ、数少ない形あるものだった。一九六○年代初期に作られた美しいアンティーク。三日身体につけないとねじが緩み、針が止まってしまう。
しかし、その不便さを、つくるは逆に気に入っていた。見事に純粋な機械製品だ。いや、工芸品と言ってもいいかもしれない。
クオーツやマイクロチップはひとかけらも入っていない。すべては精妙なばねと歯車によって律儀に作動している。(後略)」(359ページ)
細かく書いているから、村上さんもゼンマイ腕時計が好きなのかしらん。
つくる君は36歳だから、30~40代男性を客層ターゲットにしているタグ・ホイヤーを出したのではないと思う。
アンティーク時計なら、
ロレックス・エクスプローラー、オメガ・スピードマスター、ジャガー・ル・クルトのレベルソ、ゼニス、グランドSEIKOあたりでも良かった気がするが、
なぜ、村上さんはタグ・ホイヤー(ホイヤー時代のかも)を登場させたのかーー今後でるかもしれないインタビューを待ちたいな、と。
(僕は、割と小説の中の登場人物たちがしている腕時計が気になっちゃうのです。
例えば、読売新聞元記者・堂場瞬一さんも、小説を読むかぎりではかなりのゼンマイ腕時計マニアと見ました)。
(^○^)