ぶっちゃけ我が研究室は結構お金を食っている。そしてその資金源は、税金からまかなわれていたりする。そのうち、TVタックル当たりで、こんな番組場放送されるかもしれない。
(オープニング想像図)
今夜のテーマは、「コレでいいのか!?大学研究室」
一つの研究室に、数千万円!?国民の血税をつぎ込むものの正体とは!?
独立行政法人化に隠された罠!恐るべきカラクリ!
進まない研究に、ハマコーが喝!
大学研究室。日本のエリートたちが学び、事実上日本の技術を生み出す国の拠点である。だが、ここには、我々国民の知らない恐るべきカラクリがあったのだ!
まずは、予算。とある研究室は、教授、助教授がそれぞれ一人、助手が3人、その他は学生などから構成される30人弱の人員である。しかし、ここが毎年もらっている研究費は数千万単位に上る!この研究費は科研費からまかなわれており、これは我々国民が払う税金からきているのである!!
さらに、これだけのお金をもらっておいて、その職員の待遇は公務員なみである。職員は一日8時間働けばよく、もちろん土日は休日である。一般的なサラリーマンと比べて、この差は大きい。
しかもこの研究室、なんと昨年度は論文を一つしか出していないのである。実質進んでいない研究。こんな研究をしていないところに、何千万何億と我々の税金をつぎ込んでいいのだろうか!?我々国民はだまっていていいのか!?
ハマコー「1年間に数千万とか数億円ったって、何に使うの!?必ず無駄があるわけ。そこをね!!ちゃんと節約しないと!!!国民の税金つかってんだから!!はいそうですかって、成果出さないわけにはいかないでしょう!!!!何にも成果が出てない研究室なんてやめりゃあいいんだよ!!!!!!」
以下、実情
研究費について
某試薬 4ml(150円ペットボトルの125分の1の量) 140000円
某薬品 1g 25000円
某顕微鏡 1台 30000000円
某検査1回で使うキット(使い捨て) 20000円
本日のミーティングにて
助教授「このように、これらの試薬は、非常に高い。うん。まあ、使うなとは言わない。使わなかったら、研究ができないし、それはしょうがないところがあるんだけども、でも、去年みたいなペースで使ってたら、ちょっと、キツイ。だから、なるべく節約して。例えば、この14万円の試薬。取扱説明書には、6μl使うと書いてあるけど、4μlでも、十分使える。うん。十分だった。これだけでも、3分の2。相当な額が節約できる。あと、フィルムも1枚そのままじゃなくて、小さく切って、無駄のないように。あと、この試薬は古いのをまず使ってください。何でも新しいのを使わないように。まあ、これで感度が悪くて、何回もするようになるかもしれないけど、それでも、こっちの方が、安い。」
分かりやすくいえば、1日3錠と書かれている薬を、もったいないから2錠だけにしましょうというようなものである。
ちなみに、我が研究室には休憩室はおろか、一人に一つの机もない。さらに毎回滅菌して使っているピペットには、「使い捨て」と書いてあったりする。
結論 人件費よりも試薬、設備維持費がかかる。ってか、足りない。むしろ、一人1つ「も」机が与えられる充実した環境下で働けるサラリーマンとは、なんと素晴らしく充足した人々なのだろうか。
待遇について
これは完全な誤りである。
一日労働8時間とは、むしろ大学側が残業代を出さないために施した苦肉の策である。要するに「一日8時間働きなさい。でも、その時間配分は好きなように決めていいから、好きなときに来て、好きなときに帰っていいよ」と言っているのである。だが、研究を行うにあたってそんな悠長な事は言ってられない。結果、我々の教授などは事実上、朝の9時半から朝の1時まで働いている。
だが、時間外の労働は「強制」ではないため、残業代などは皆無である。
もちろん休日はない。「土曜日は平日ですから」(教授談)
それでも我々新入りはまだましである。先輩方、教授方は土曜は当然ながら日曜も出勤してくる。
くどいようだが、残業代などない。
結論 働いた分だけ金がでて、休日があるサラリーマンとは、なんと虫のいい職業なのであろうか。好きな事をやっているんだからいいではないか、と言う意見もあろうが、その研究テーマは、教授のさじ加減一つで決められてしまい、嫌なら辞めろとなってしまうため、サラリーマンの方が安定であると言える。
成果について
研究、特に生物研究は、銀行でもなければ建設業でもなければ構造改革でない。むしろそれは宝くじですらなく、事実上当たりがあるかどうかもわからない宝くじとと言うべきであろう。予算を投じれば、それだけ成果が出てくるなどと考えるのは、甘ちゃんだと言える。さらに、基礎研究においては、全くの「未知」の物に手をだすのだから、その歩みは遅い。続けて言えば、これら基礎研究は、「応用研究(国民に直接利益をもたらす研究)」の土台となるため、その成果の意義がつかみにくい。かといって、それらをやめれば、即座に応用研究への道も食いつぶし、これら基礎研究を大事に行ってきた欧米諸国に技術的に負け、さらに応用一本で迫ってきている中国などに後ろから追い詰められる。要するに「ムダだからやらない」のではなく、「やらなければ負ける」のである。勉強なんてすぐに成果の出ないものよりも、即物的な遊びの方に力をいれたとして、そのときは良くても、後で大学入試直前になってあわてても遅いのである。残された道は国ニートであり、そうなりたくなければ「勉強」をすることだ。
なお、世界各国で同じ研究が激しい競争の下行われている。そうなると、せっかく研究しても「先を越されて」しまい、成果が出せない事もある。まさに弱肉強食の世界であり、この事についての保護制度は何一つない。
結論 金をかければ成果がでる業界とは、なんと素晴らしくフェアな世界であろうか。
どうだね?「怒れる国民」よ。君達もなんなら研究室で働いてみるか?
最終的結論。研究と戦争はいくらお金があっても足りない。ってか、国民の皆様、まずは我々の研究室に金送れ。