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日々読む本についての感想です。
特に好きな村上春樹さん、柴田元幸さんの著書についてなど。

「風神秘抄」荻原規子著(徳間書店)

2006-07-05 | 児童書・ヤングアダルト
「風神秘抄」荻原規子著(徳間書店)を読みました。
主人公は坂東武者の家に生まれた十六歳の草十郎。
彼はその生い立ちからひとり野山で笛を吹くことが多かった少年。
そして平安末期、草十郎は平治の乱に源氏方として加わります。
源氏の御曹司、義平を将として慕ったのもつかの間、敗走し京から落ち延びる途中で、草十郎は義平の弟、幼い源頼朝を助けて、一行から脱落します。
そして草十郎が再び京に足を踏み入れた時には、義平は獄門に首をさらされていました。絶望したそのとき、草十郎は、六条河原で死者の魂鎮めの舞を舞う少女、糸世(いとせ)に出会います。引き寄せられるように、自分も笛を吹き始める草十郎。舞と笛は出会い、光り輝く花吹雪がそそぎ、二人は互いに惹かれあいます。しかしふたりの笛と舞は生者の運命をも変えうる強大な力をもつものでした。
時の上皇後白河はふたりの特異な力に気づき、自分の寿命を延ばすために利用しようとします。一方草十郎は、自分には笛の力だけでなく、「鳥の王」と言葉を交わすことができる異能が備わっていることに気づきます。史実をからめながら楽しめる鳥と人のファンタジーです。

鳥と話ができ、たぐいまれな笛の能力をもつ草十郎ですが、気落ちしたり傲慢になったりそのときどきのさまざまな迷いが人間くさく、いつのまにか自分のことのように彼を応援していました。
双子のあとりとまひわや、日満など周囲の人物も脇役と思えない存在感です。
鳥彦王のセリフには何度も噴出してしまいました。
本の分厚さを感じさせないストーリーの面白さはさすが荻原さん。
作者あとがきによると奈良時代も気になっているそう。
今後荻原さんの描く奈良の都を読むことができるのかなあ。読みたいなぁ!!

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