Straight Travel

日々読む本についての感想です。
特に好きな村上春樹さん、柴田元幸さんの著書についてなど。

「ミオよ、わたしのミオ」アストリッド・リンドグレーン著(大塚勇三訳)岩波書店

2007-06-20 | 児童書・ヤングアダルト
「ミオよ、わたしのミオ」アストリッド・リンドグレーン著(大塚勇三訳)岩波書店を読みました。
ストックホルムの町でもらわれっ子としてつらい日々を送っていた少年ボッセ。
彼はある夜、父の王がまつという「はるかな国」へ迷い込みます。
王子ミオとなった少年は白馬ミラミスとともに、残酷な騎士カトーと戦うために不吉な魔法の城へむかいます。

題名は父王がボッセ(ミオ)に呼びかける愛情溢れる呼び声。
カトーの城を目指す旅で何度もくじけかけるミオを励ます言葉でもあります。
みなしごボッセが迷い込んだはるかな国。
こうであったらなと思っていたとおりのお父さん、欲しかった自分の馬、美しい庭、優しい友達・・・すべてがミオの夢想のようで心が苦しくなります。
カトーを倒しに行く道のりでは天地のすべてがふたりを助けてくれて、このまま予定調和で終わるのか?と思いましたが、そのうちふたりが捕らえられてからは自分の闇にのみこまれていくような怖さがありました。
そんなときにミオを助けたのは自身の勇気というより、多くの人の悲しみを助けたいという思い。
カトーの最期もせつなかった・・・。


最新の画像もっと見る