Straight Travel

日々読む本についての感想です。
特に好きな村上春樹さん、柴田元幸さんの著書についてなど。

「ポーの話」いしいしんじ著(新潮社)

2006-07-29 | 児童書・ヤングアダルト
「ポーの話」いしいしんじ著(新潮社)を読みました。
泥の川が流れる橋の多い街。太古から岸辺に住みつく「うなぎ女」たちを母として、ポーは生まれました。ポーは人間離れした体を持ち、魚のように水の中を泳ぐことができます。やがてポーは、稀代の盗人「メリーゴーランド」と知りあいます。ですがある夏、500年ぶりの土砂降りが町を襲いポーは新たな旅に出ることになります。
野生児・ポーは文明を知らず教育も受けず人間関係の機微を知らず 、世間の悪にも善にもそまらずにあらゆることを見聞きし、消化していきます。
窃盗、麻薬、環境破壊・・・ポーをとりまく世界は暗く悪意に満ちています。
しかし、だからこそ象が喜悦するバナナや犬じいさんの愛情や、海辺の村の人々のもてなしがきらきらと特別に輝いて見えます。

ですが、個人的には最後世捨て人のようになってしまったポーの姿がちょっと残念かも・・・・かといって普通に陸で生活しているポーもやはり想像できないか・・・むつかしい。
なぜうなぎを飲み込んだポーがあのような姿になったのか?
ポーの行く末とともにもう少し考えてみたい課題です。


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