「ジーザス・サン」デニス・ジョンソン著(柴田元幸訳)白水社を読みました。
麻薬におぼれ、社会の底辺でもがきながら生きる、破滅的な人びと。
幻覚のような語りの11の短篇集です。
この短編集はアメリカで1992年に刊行されて以来、20世紀末のアメリカ短篇集の最高峰として、誰もが名を挙げる一冊でありつづけているそうです。
表題はルー・リードの「ヘロイン」という曲より。
目いっぱい薬やって イエスの息子みたいな気分のとき・・・
生と死がいつ入れ替わってもおかしくないような暮らし。
猥雑に行き違う人々、ゆきずりの女。モラルのない会話。損なわれた自分自身。
「どうやったら人間そこまで堕ちられるのか?
その問いは俺にも理解できる。それに対し、俺はこう答える。
冗談でしょ?そんなの簡単ですよ。
俺、もっとずっと下まで堕ちたことありますよ。
それでもまだ、きっともっと下まで行くよなって思いましたよ。」
印象的だった作品は「緊急」です。
緊急治療室で働きはじめた「俺」。ぶらぶらするか、雑役夫と薬を盗むしかない日々。ある深夜、目にナイフが刺さった男が連れられてきます。その結末とは。
不思議なできごと。突拍子もない台詞、ぶつっと断ち切られるラスト。
これは「小説を書く」ことを自覚して書ける文章なのでしょうか?
ほかに似たような小説がない、オリジナルな短編ばかりです。
麻薬におぼれ、社会の底辺でもがきながら生きる、破滅的な人びと。
幻覚のような語りの11の短篇集です。
この短編集はアメリカで1992年に刊行されて以来、20世紀末のアメリカ短篇集の最高峰として、誰もが名を挙げる一冊でありつづけているそうです。
表題はルー・リードの「ヘロイン」という曲より。
目いっぱい薬やって イエスの息子みたいな気分のとき・・・
生と死がいつ入れ替わってもおかしくないような暮らし。
猥雑に行き違う人々、ゆきずりの女。モラルのない会話。損なわれた自分自身。
「どうやったら人間そこまで堕ちられるのか?
その問いは俺にも理解できる。それに対し、俺はこう答える。
冗談でしょ?そんなの簡単ですよ。
俺、もっとずっと下まで堕ちたことありますよ。
それでもまだ、きっともっと下まで行くよなって思いましたよ。」
印象的だった作品は「緊急」です。
緊急治療室で働きはじめた「俺」。ぶらぶらするか、雑役夫と薬を盗むしかない日々。ある深夜、目にナイフが刺さった男が連れられてきます。その結末とは。
不思議なできごと。突拍子もない台詞、ぶつっと断ち切られるラスト。
これは「小説を書く」ことを自覚して書ける文章なのでしょうか?
ほかに似たような小説がない、オリジナルな短編ばかりです。