高梨、恩師に涙「メダル見せてあげられなくてごめんなさい」
2014.2.12
【ソチ=宝田将志】ドーピング検査に向かった先、高梨沙羅(クラレ)は付き添った山田コーチに言った。「メダル、見せてあげられなくてごめんなさい」。日本女子ジャンプの先駆者は「ごめんね」としか返せなかった。2人とも目から涙があふれていた。
表彰台に2.2点届かない4位。ワールドカップでは昨年2月の札幌大会の5位を最後に、20戦連続で表彰台に立ち続けてきた日本のエースが、五輪初代女王の座だけでなくメダルをも逃した。
1回目、スタートゲートで珍しく肩をほぐすように回してから助走に入った。100メートルで3位。トップのフォクトとは2.7点差。飛距離に換算して1メートル35と、逆転は射程の範囲内だった。だが、勝負の2回目は98.5メートルにとどまり万事休す。「自分の思い通りに飛べなかったということはメンタルの弱さだと思う。キレがなかった」と気丈に振り返った。
助走の重心が最後まで不安定で、2回とも課題としてきたテレマークが入らず、飛型点が伸びなかったことが響いた。
全ての競技が終わった後、伊藤有希と抱き合い、4年後、一緒に五輪の舞台に戻ってくることを誓い合った。「今度こそ支えてくれた人たちに感謝の気持ちを伝えられるように、良いところを見せたい」。痛いほどの悔しさをバネに、17歳はさらに強くなる