日本生命、魅力出た30年債「2%しっかり超せば投資前倒し」-24年度
日高正裕、長谷部結衣 2024年4月24日 17:00 JST
- 30年債2%超えてくれば買うチャンス-都築執行役員財務企画部長
- 2%中心のレンジ上方修正ならアロケーション自体を動かす-都築氏
日本生命保険は超長期債を現状の利回り水準で着実に積み増す方針だ。執行役員財務企画部長の都築彰氏は24日の2024年度運用説明会で、30年債利回りが2%を大きく上回ってくれば、計画を前倒しで買っていくとの考えを明らかにした。
都築氏は、利回りが1.9%を上回ってきた30年債について「魅力が出てきたので、着実に買っている」と説明。23年度後半は利回りが低下し、ペースを抑制してきたが、「このくらいの水準なら平準的にしっかり買っていく」と述べた。
30年債利回りは、節目の2%に接近している。「1.9%台後半と2%台前半で投資スタンスががらっと変わることはない」としつつも、「2%をしっかり超えてくれば、少し前倒しで買っていく」との姿勢を示した。
30年債の利回り想定は「現状から横ばいか少し上くらいで、今が中心くらい」と都築氏。「2%を超えてくれば、買うチャンスであり、年間のアロケーション(割り当て)を前倒しで買っていきたい。レンジ自体が上方修正するようなことになれば、アロケーション自体を動かす」と語った。
日本銀行の追加利上げの可能性については、10-12月に0.25%までの利上げを想定。次の利上げは少し間を空けるとの認識だ。都築氏は、市場コンセンサスはもう少し早めの利上げを完全に織り込んでおり、利回りはあまり上がらないとみる半面、「日銀の利上げの回数が増えてくれば、利回りも上昇するだろう」と予想する。
同社の負債コストは23年3月末で1.8%程度。従来は金利リスク削減とデュレーション(残存年限)ギャップ縮小のため、金利が低くても買っていく方針だったが、「現状は負債コストが下がっていることに加え、金利リスクがだいぶ減ってきているので、利回りを見て判断できる局面に入ってきている」と都築氏は述べた。
23年度は一般勘定資産(除くレポ)は1兆5000億円増加した。都築氏によると、24年度は1兆1000億円程度増える。23年度は国内債券などを7100億円積み増し、24年度も「だいたいこれくらい」の積み増しを想定している。
24年度も通貨スワップを用いて円金利化した外国社債へ投資するとともに、金利水準を勘案しつつ、国債への投資・入れ替えを行う。都築氏は、両者の比率について「23年度は国債が半分強だった。24年度はおおむね半々くらい」だと言う。
【日本生命の2024年度運用計画】
国内債券 | 増加 | 金利水準勘案し投資・入れ替え |
ヘッジ付き外債 | 増加 | ヘッジコスト変動に耐性有する変動金利資産拡充 |
オープン外債 | 横ばい~減少 | 為替・金利水準に応じ機動的に為替リスクをコントロール |
内外株式 | 増加 | オルタナティブ含む外国株は増加、国内株はおおむね横ばい |
【金融環境見通し:25年3月末の見通しとレンジ】
国内10年金利(%) | 0.9(0.6~1.2) |
米国10年金利(%) | 3.5(2.0~5.0) |
日経平均(円) | 36000(30000~42000) |
NYダウ(ドル) | 38000(32000~44000) |
ドル円(円) | 135(120~150) |
ユーロ円(円) | 150(135~165) |
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