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曽田修司の備忘録&日々の発見報告集

手嶋龍一・佐藤優「インテリジェンス 武器なき戦争」

2006-12-30 21:14:20 | その他
手嶋龍一・佐藤優「インテリジェンス 武器なき戦争」を読む。

インテリジェンス 武器なき戦争
手嶋龍一・佐藤優
幻冬舎

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この本では、「インテリジェンス」とは、外交交渉において、国家の命運を担う政治指導者が舵を定めるために用いる羅針盤となるような重要な情報のことを指すと定義が与えられている。精査し、裏を取り、周到な分析を加えた情報がインテリジェンスである、とも書かれている。もともと、語義的には情報収集力と判断力・決断力のことだろう。

9.11テロからイラク戦争にいたる動静や北朝鮮の核開発問題など、外交上の争点となっている国際情勢を分析し、何がそのときどきの日本やアメリカやロシアや中国の態度を決めさせたのかを手嶋、佐藤の両インテリジェンスの達人が読み解くという構成になっている。
片や、インテリジェンスに詳しい元外交ジャーナリストにして作家、そして、片やインテリジェンスに詳しい元外交官にして作家、と当人同士が控えめに自己規定しながら互いに相手に敬意を表するところから対談は始まる。

この二人の対談によって世界の政治情勢を動かすインテリジェンスの現場を生々しく、そしてダイレクトに読者に実感させようという同書の企画自体が出色である。

それにしても、どのような出来事であれ、それぞれの情勢を分析するにも裏を取るにも、ナショナリズムや民族や宗教に関する基礎的な教養が重要であることに改めて思い起こさせられてしまう本である。

ブッシュ政権を動かしているネオコンの思想は世界革命を志向しているのだ、とか、日本国首相の靖国参拝問題は国内問題であるとか、韓国との間のいわゆる竹島問題で日本は外交的なポイントを稼いだ、とか、いろいろ、なるほどと思わせられることが多い。

対談をまとめた本だけに大変読みやすいし、世の中の動きのダイナミズムを考えるためのヒントとして十分に刺激的な本である。

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