安らぎと戒め

仏像と花と山と写真を楽しみます

盗人と問うた人に導かれ

2012年09月11日 10時32分11秒 | 日記
 神社に安置されている仏像について話を聞くため、日南の古老を訪ねた帰り道、山手に向かう道
があったので、「山越えで帰れるだろう」と考えて、山に向った   2キロほど走ると、道路脇に鳥居
があった

 鳥居の奥に小さな小屋があり、仏像が見えた    中央に観音様と思われる立像があり、傍の壁
に朽ちた仏像が立てかけられていた  中型の三脚では立像を撮影するのは難しいので、後日改め
て出直そうと思いながら、朽ちた仏像を撮影していると、人の気配がしたので振り返った   小柄な
私より、もう一回り小柄な老人が私の後ろに立っていた   「 何をしよっとな? 」 「 写真を撮らせて
頂いています 」 「 そうな  この前仏像が一つ盗られたつよ 」

  心配かけたことをお詫びして、車から私の仏像写真集を取り出して見て頂くと安心して、観音堂等
の説明をして頂いた    仏像は馬頭観音像で、隣に小さな子安観音像があったが、先日持ち去ら
れたそうだ  また、観音像などは別のところにあったが、耕地整理を行った時に今の場所に観音堂
を建てたそうだ

 小さな石像も幾つかあったので、樫木などが数本並んでいるところに集めたと言って、そこに案内し
て頂いた   乱雑に置かれた石像には、1体を除いて殆ど頭部がなく、上半身がない石像もあった

 老人は、観音堂から2百メートルほど離れた所にある自宅から、稲穂が実る田の中を歩いてきたそ
うで、「 家に古文書等がある  県にも見せたことがあるが、私には何が書いてあるのか分からん
何時か、家に見に来なさい 」と誘っていただいた  心配をかけたにもかかわらず、有り難いことだ

 次回、撮影に来るときには老人の家に伺って仏像などの話を聞き、故文書などを見せて頂く

 日南では、地元の人たちが毎年4回行う神社や周囲の道路等の清掃を行っていた  「 もうすぐ掃
除が終わるから、その後で撮影しなさい」と言っていただき、「 撮影は終わったので、仏像について教
えて 」というと、 「 私たちは何も知らん  あんたが分かったら、私たちに教えて 」と言われた

 今日は、素晴らしい人たちにお会いできた 有り難い

    2012年9月11日

                                   風   太郎


日南市の大迫寺跡にある仁王像・吽形


日南市の大迫寺跡にある仁王像・阿形


北郷町の馬頭観音立像