そろそろ

路上音楽情報紙『ダダ』編集発行人・青柳文信のブログ

アンコールと叫ぶのが失礼だと思える程の充実した舞台。プロの技を見た。

2010-01-21 21:50:20 | 日々の泡立ち。


  今日、久しぶりに「プロの技」を見た。その人は、こちらの
予想を翻し、別の技を出し続ける。時に首を振っては、作業
に戻り、また、次の技をくり出す。こうなると見ているこちらは、
煙にまかれたようになり、次は、何が飛び出すのかと、ひた
すら待つようになる。

  そして、最後の最後には、「この人は、人を喜ばせるため
に、どれだけの時間と労力をかけ続けたのか」と愛しくなって
「いくらお金を渡して帰ろうか」という気に自然になっていた。

 これがプロの仕事という事なのだろう。路上には、まだまだ
アマチュアのミュージシャンが多い。万人ウケする有名人の
歌を歌って酔っ払いの年配者から金を貰う事に腐心するヤツ、
毎日、駅前で歌って暇で金のない中年おやじのアイドルにな
っているキーボードの女性ミュージシャン・・・。高度消費者で
あっても高度表現者になり切れていない。色々な事を知って
いても、それがわかって、自分でできないと。

 志が低過ぎる。いい歌をつくる。アレンジを練って、練って、
練り上げる。そして、受け手の反応を見てはウケの悪いアイ
ディアを差し替え続ける。ここまで聴き手を意識して苦悩して
いる人が、どれだけいるだろう。つくっては直し、つくっては直
しする。こんなじゃダメだ。そして、私自身も。冴えたプロの技
には、自分の生活を素直に反省させる力がある。こうあらねば。

 そう言えば、アンコールと叫ぶ事が失礼と思わせる舞台を
何度か見た事がある。仲井戸麗市さん、スーパーバット、ボ・
ガンボス、身近な人達では、石井明夫さん、桑田健志さんの
ステージ(はじめて見たローグの屋根裏のステージも凄かっ
た。メンバーが一度、舞台を引き上げる頃にはヘロヘロにな
っていたっけ。笑)。こういう人達のようでなければ。

        路上音楽情報紙「ダダ」編集発行人・青柳文信
               http://pub.ne.jp/solo_solo/