ルノージスというバンドの、私にとってなじむのは、
セクシン(SEX-IN)というバンドの歌、
ベースの佐藤貴士さんが他界された。
「29年ぶりに歌うんだよ。でも、歌えちゃったんだよ」と
電話をかけてきて、昨年、バンド活動再開の狼煙を上げた。
ギターには、青柳さんの足利南高校時代の友人、
中村もとおくんも参加するということで、
今の日本の音楽業界全体を
ゆさぶる活動を期待したのだ。
バンドに打ち込んで、打ち込んで、でも、音楽的な成功を
手にすることかできなかった全国のベテラン・バンドマンに、
明るい光を与える存在に成長することを期待した。
佐藤さん、もとおくんの人脈から、ヤマハ系のスタッフの
支援もあったし、そんな夢物語も、
現実になりそうな説得力があった。
しかし、そんなバンドのアルバムのレコーディング中に、
歌い手の佐藤さんは他界した。どうにも、残念で、訃報を聞いてから彼と、
もとおくんとバンドのことばかりを考えていた。
佐藤さんは、一言で、短気。煮えきらないことが嫌い人だ。
ぐちゅ、ぐちゅと悩むのなら、とりあえず、ぶつかってみる。
こういうことを、足利南高校時代から教えてくれた。
好きなら、好き。やるのなら、とことんやる。
「青柳くん、音楽をやるのなら、とことんやんな」。
話をしているだけなのに、そう言われている気がした。
亡くなったという話を聞いてからも、
ずっと、そう語りかけてくるような気がした。
この気持ちを忘れないようにしなければならない。
証のようなものが欲しいと思った。
ARBの石橋凌さんではないけれど、気合を入れて、
一生歌って行きたいし、文章を書き、
雑誌や本を作っていきたい。
佐藤さんの無念をはらすためにも。
そして、「青柳くんのとことんて、そんなもんかい?」と
言われないようにするためにも。
佐藤さん。
ありがとうございます。直接の言葉ではないけれど、
一つひとつの行動、作る歌から、色々なものを
教えてもらいました。感謝しています。
最後の最後まで、佐藤さんらしい思い切りのよい人生でした。
心より敬意を表します。
楽器は、歌い手やミュージシャンにとっての武器です。
くじけそうになった時、佐藤さんの生き様を思い出して、
「何てことなはないぜ」と進んで行こうと思います。
おつかれさまでした。
安らかに、おやすみください。合掌。
路上音楽情報紙『ダダ』編集発行人・青柳文信