ダンナのぼやき

あられダンナの日々のぼやきです。
色んな事を思い、考えぼやいてます…。

GONE GIRL

2014-12-27 19:42:17 | 映画
『ゴーン・ガール』を観た。

今や何を撮っても問題作となる、鬼才デヴィッド・フィンチャー監督の最新作。
個人的には、作品によって好き嫌いがハッキリと分かれる存在。
でも、新作が出れば絶対に観る数少ない監督でもあります。
好き嫌い云々ではなく、今回はそんな次元で語れる作品ではなかった。
多分、コレってフィンチャー監督の最高傑作になるのでは?って思っている。



本作に関して。
何をどう語っても、ネタバレは避けれない状態になってしまう(苦笑)。
ただ、まだ未見の方には本作の持つ強烈なインパクトを実際に体験して欲しい。
なので、精一杯ネタバレ回避で作品の感想を言いたい。
でも…多少のネタバレは含まれるのは仕方ないかと思います…。
あと観る側の解釈によって、あの「衝撃的な結末」を含めて本作への印象が全く異なるかと思う。
今言えるのは、フィンチャーの作品として今まで以上に好き嫌いがハッキリ分かれる作品である事だと思う。






※注意:微妙にネタバレ含みます!!









よく「殺したい程愛してる」とは言ったもんやと思いました。
細かいジャンル分けは嫌いですが、本作はサスペンスと言うよりも…ラヴ・ストーリーだと思いました。
ただ普通のラヴ・ストーリーではなく、愛憎深く入り交じってしまい狂気の方向に向かってしまった。
それは決して本人達が思っていた方向とは違い、他者によって歪んで行く事にも恐ろしさを含んでいた。
ベン・アフレック扮するニック。
かのトム・クルーズを凌駕する、何も考えていない偽善的で軽薄な笑顔。
このアホっぽさは作者も熱望した、俳優ベン・アフレックの「ハンサムで良い人なんだけど…」というニュアンスにハマる。
あと本作の重要な主人公エイミーを演じたロザムド・パイク。
今年のアカデミー、彼女が主演女優を獲らなければ嘘でしょ!という程の熱演でした。
彼女が演じたエイミー。
エイミーは、頭のバランスが崩れたサイコ女でもなければ。
「美女」という姿形をした、とんでもない怪物でもありません。
エイミーは確かに頭脳明晰であったかもしれないけど、彼女は普通の女性であり「母」でもあった訳です。
いつまでも子どもじみた男は、強く母性を持った女性の前では単なる愚か者でしかないと言う事実を突き付ける。
全てはクライマックス、彼女がニックに吐き捨てる台詞が全てを象徴していたかと思います。



本作が単なるサスペンスではないと判るのは、中盤以降の展開かと思う。
特にニックのTVでのインタビューを観た時、エイミーの中で何かが変わります。
あのサイコに捕われるよりも、確かに自分への愛を感じた瞬間に彼女は「行動」を起こします。
またニックも「エイミーには判るはず」と、暗号のようにプレゼントのネクタイを付けてTVに出演します。
これまでの経過で様々な人々を巻き込みながら、結局はこの2人の愛憎劇でしかない事実が提示されます。
本来の映画なら、もう此処で終わりかな?って所で作品は終わりません。
作品は、「その後」の事までしっかり描く事によって作品は真のクライマックスを迎えます。



あのラスト。
久々に劇場の空気が震えるのを感じました。
ソレは驚きと言うよりも、ある意味心から「恐怖」を感じて空気が凍り付いたのかと思います。
でも、ソレは一方で狂おしい程に愛を求める結末だったかと思えました。
フィンチャーの演出が巧みだと唸ったのは、オープニングとエンディングをつないだ事かと思います。
あのエンディングを観る事によって、結局逃れられない「絆」によって結ばれてしまっている事が判りました。
しかし、ソレは観る者をハンマーで叩き付ける様な衝撃と痛みを伴っている事がポイントかと思います。
凄い映画です。
久々に上映が終わり明るくなった劇場で、すぐに立ち上がる事が出来ない程に打ちのめされていました。
心にナイフでぐっさりを傷を付けて、観る側に血を流す事を求める様な作品だったかと思います。
ロリコンの日本の某大御所と違い、フィンチャーは本当の意味でフェミニストである事も再認識した傑作でした。


時々思うんだ
君のその頭蓋骨を抉じ開けて、脳味噌の中を見て知りたいんだ
君が何を考えていて
君がどんな事を感じているのか
そして、僕達がこれからどうなっていくと思っているのか?



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