ダンナのぼやき

あられダンナの日々のぼやきです。
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地球防衛軍

2010-02-06 12:07:44 | 映画
『地球防衛軍』のDVDを観ました。

東宝映画として「怪獣」絡みではない、初の本格的なSF映画。
今から50年以上も昔の映画とは思えない、その面白さとインパクトは今も色褪せないSF映画の最高傑作だと思います。

この作品の最もユニークなポイントは、やはり宇宙からの侵略者・怪遊星人ミステリアン(土屋嘉男氏の“宇宙演技”は最高!)の存在かと思います。



今も続く古今東西の侵略SF映画の多くが、ある日突然空から円盤によって人類に対して圧倒的な科学力を武器に攻撃してくるパターンです。
しかし、本作に登場するミステリアン達は既に地球(衛星軌道上にも監視衛星を持っている)に飛来しており、白石という地球人側の協力者を得て、富士の麓にその前線基地を建設しています。



オマケに彼らが更にユニークなのが、最初に圧倒的な武力で周辺地域をアッと言う間に全滅させる(ここでのロボット怪獣モゲラの金属的カッコ良さと無機質な怖さは圧巻!)。
そして「我々は争いを望まない」と大嘘をカマして、自らの要求として富士の麓周辺3km四方の土地、そして地球人の女性との自由な結婚(早い話が繁殖行為:笑)許可を人類側に要求して来ます。

あっぱれな用意周到ぶりは、侵略者としての宇宙人としては最強です。

しかし、後でコレが本作の醍醐味でもあり、作品を楽しみ方の一つである「突っ込みどころ」が満載の理由にも発展します(笑)。

ソレは当のミステリアン達が、決定的なまでに「詰めが甘い」!!。

富士の麓での防衛隊との最初の戦いにて。
圧倒的な武力の違いによる勝利に慢心したのか、彼らは地下基地建設と美しい女性の拉致(!)に執着し、超兵器開発し反撃に備える人類を易々と見逃しています。



最終決戦の際、地球防衛軍側が次々と投入する新兵器の前に劣勢に陥り、湖を決壊させて防衛軍と周辺地域に大きなダメージを与えるも、時既に遅く裏切った白石達の活躍により基地は壊滅状態…危うく全滅しかけるものの最後はUFOに乗って無様に退却していきます。
この頭が良いのか悪いのか、さもなくば見当違いなフェアープレイ精神なのか判らないが、結局は自らの招いた詰めの甘さによって、人類によって地球から撃退されてしまいます。

それに対して、本作のタイトルにある人類側:地球防衛軍は、非常に好戦的な集団として描かれます。

この頃のSF系作品にありがちなのですが、数名の外国人と国連(なのか?)で演説により日本主導で地球防衛軍が結成。
科学者が最初は主導権を持ちながらも、ミステリアンの科学力とその要求に対して、たいした論議や政治的交渉等もなく人類への新たなる脅威として徹底交戦へと踏み込みます。



この辺りの描写に関して、よく右翼的要素を感じると言うファンも多いです。
日本メインの地球防衛軍、あれだけの超兵器(別の言い方をすれば大量破壊兵器)を作り上げれば、この防衛軍の存在自体が世界情勢において大きなパワー・バランスを握りますよね(笑)。

ただ、日本が世界で唯一の「被爆国」だと言う事実を感じるのは、本作の根底に流れる強烈な「反核」の姿勢です。

ミステリアンの脅威に核の使用を決断しようとする軍部に、安達博士(名優・志村喬!)はそれだけは絶対にいけないと断固反対します。
敵であるミステリアンも、先祖たちの起こした核戦争により種が絶滅の危機に陥り、あのマスクの下は実はケロイドがあり被爆により生物として遺伝的に致命的な障害を負っています。



あとミステリアンの研究を重ね、その科学力に魅了されて人類を裏切った白石博士(平田昭彦様!)のキャラも秀逸。
彼はただ単に人類を裏切ったのではなく、このままでは自滅の道を進む地球を救おうと言う意志があった。
でも、ミステリアン達の邪悪な本性に気付き、結果として人類を勝利に導く英雄的行動につながる。
しかし、その後に自分の為に何の罪もない多くの人々の命が奪われた事実が、ミステリアンと最期を共にする選択をした彼の姿は自身の贖罪でもありました。

ここがハリウッド映画ではなく、ウェットな日本映画らしさだとも言えます。

まぁ~オープニングで伊福部昭氏による重厚なマーチが鳴り響いた後に、いきなり盆踊りのシーンから始まるセンスも土着的な日本映画らしさだとも言える(笑)。



あと、ミステリアンの狙いが地球侵略だけでなく、種の保存の為に地球人女性との婚姻(繁殖行為=SEX)があるせいか、本作にはそこはかとなくエロい雰囲気も漂っている(爆)。



ヒロインの大河内桃子や白川由美の圧倒的な美貌と、その清純な佇まいが逆に何とも言えないエロさを醸し出している。
こんな穿った見方も、腐った大人の視点かもしれない(自嘲)。

何はともあれ、空中軍艦a・b号、マーカライト・ファーブ等の超兵器のカッコ良さ、それが大活躍するラストの大激戦は胸が踊ります。

本作は日本映画が誇る、SF映画の最高傑作であります。


「彼らは永遠に宇宙の放浪者です…。」



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