ダンナのぼやき

あられダンナの日々のぼやきです。
色んな事を思い、考えぼやいてます…。

『地球が静止する日』

2008-12-20 16:31:58 | 映画
キアヌ・リーブス主演のSF超大作『地球が静止する日』を観た。

かなり期待して本作を観た訳だが、正直に言うと観終わって心底ガッカリしてしまった。

落胆の理由は幾つもある。

まず、本作は一体何がしたいのかサッパリ判らない。



オリジナルのリメイク? 新たなSF・パニック映画? 人類と宇宙人の交流を描くドラマ?!
どちらにせよ踏み込みが甘く、テーマの焦点がぼやけた、実に中途半端な内容になっているのがマズい。





(以下:ネタバレ光線発射!)













物語の導入と前半は、宇宙より迫りくる得体の知れない脅威と対峙する人類の姿は、実にハードSFっぽくて硬派な展開で素晴らしい。

しかし、宇宙からの使者クラトゥ(キアヌ)が、超能力によって基地を脱出してからの中盤以降から、物語は焦点がぼやけてグダグダになってくる(苦笑)。

クラトゥは先遣者(と言って良いのかな?)の老体との会談(場所がマクドってのが笑える)、ヒロイン親子との遭遇により、この“地球”に存在する人類が排除に値する存在か苦悩する事になる。



笑えるノーベル賞受賞科学者との理系的コンタクトや、バッハの音楽に「美しい」と感動するクラトゥ等、この辺りの描写がもっと練られて整理されていれば、ラストのクラトゥのくだした「決断」も更にドラマチックかつ感動的になっただろう。

一方、SF・パニック的要素を担っている巨大ロボ“ゴート”。



無意味にミリタリー的に細かくマニアックな描写が多い本作にあって、あっさりナノ・マシン化しての破壊描写は拍子抜けと言える。
あれだけガツガツ新兵器を投入する米軍と、巨大ロボ“ゴート”との壮絶な肉弾戦を繰り広げる怪獣映画的な描写が、セリフだけでなくホンマに実現していたら?!…ってのが本音。
それが実際に描かれているだけで巨大ロボ&怪獣好きにとっては、「傑作!」って言えたのに…非常に残念である(自嘲)。

予告篇を観た時から感じていたが、本作は“日本のアニメ”からの影響が絶大である。

まぁ~ハッキリ言ってしまうが、「エヴァンゲリオン」とO.V.A版「ジャイアント・ロボ」からの影響が露骨に判る。
確信犯的に「死海文書」というセリフ(を言うのも日本の科学者!)から判るが、脚本家なり監督なりが「エヴァ」や「ロボ」を観てないとは絶対に言わせない(笑)。

あと、やはりキアヌの「宇宙人」演技は絶品!

元々、何か無表情でロボットのような雰囲気を漂わせていたキアヌ、ラヴ・ストーリーやドラマ系作品では見事に浮くが、本作のように超絶的なキャラクターを演じさせたら本当に素晴らしい。

キャシー・ベイツ演じる傲慢な国防長官(地球代表=アメリカ合衆国って:嘲笑)に「あんた達の地球?」と鋭く睨んだり姿がカッコ良かったり、空腹で倒れそうになって駅でツナ・サンドを食べる姿だけでも実は結構可愛かったりと印象深いのだ。

本作の微妙な邦題だが、ラストまで観ると「なるほどね」と妙に納得出来る様になっていた。

いくらでも面白くなる要素がありながら、結局それが最後まで単に“素材”のままに終わってしまったという、ホンマに色んな意味でガッカリな作品でした。


「クラトゥ、バラーダ、ニクト…。」