ダンナのぼやき

あられダンナの日々のぼやきです。
色んな事を思い、考えぼやいてます…。

夏休み、お祭り、帝都、太股、小豆、そしてキリン・ビール

2005-08-07 03:47:46 | 映画
今日ヨメと一緒に『妖怪大戦争』を観て来た。
オリジナルの昭和版『妖怪大戦争』に対する個人的な思い入れは以前に挙げたが、日本が世界に誇る最凶の鬼才三池崇史監督が手掛ける平成版に対しては正直期待と不安が入り交じっていた。
最初“あの『妖怪大戦争』をリメイク! おまけに監督は三池崇史!?”と聞いた時は「お~っ!!」と声を上げた、だが作品の全貌が明らかになるにつれ僕の気持ちの中で疑問の方が多くなった。
まずコレが昭和版の“リメイク”ではない事実、ファンタジーで人間の少年が主人公である設定、オマケに敵が西洋の極悪吸血妖怪ダイモンでもない事…それだけで失望感はあった(苦笑)。
大映が角川グループに吸収・合併され、角川映画復活の第一弾として10億円(!)もの製作費を投入する超大作であれ、僕の中ではタイトルだけ同じの“別の映画”だと認識していた。
実際に作品の撮影が始まってからも様々な噂と憶測と飛び交った。
今回は昭和版とはまた違い邦画版『指輪物語』を狙った3部作になるとか、アッと驚く豪華キャスト達が特殊メイクを施し妖怪達を演じる等々…。
僕の中で平成版『妖怪大戦争』に対するネガティブなイメージを払拭したのが、作品の要となる妖怪達の“敵”が明らかになった時だった。
今回の敵は魔人・加藤保憲と言うではないか?!
あの壮大なホラー・サーガ『帝都物語』において、帝都の破壊と人類の抹殺を目論だ怨霊・加藤が妖怪軍団と戦う! もうコレだけで、さっきまでのネガティブは木っ端微塵となり作品に対する興味と期待が高まった。
当然加藤が出るなら日本映画界の“宝”嶋田久作氏が演じると思ったが、何と別の俳優を起用すると言うではないか?!
作品の出来はどうあれ(苦笑)、映画版『帝都』2作は“加藤=嶋田”の強烈なキャラクターにより救われていた言って良い筈だ。
一説には今回の加藤役を嶋田に打診したら、いつまでも“加藤”のイメージに縛られるのを嫌い嶋田本人が拒否したと言うが真相は闇の中だ。
そこで新たな平成の加藤を演じる重責を担う事になったのが、意外にもあのクールな二枚目の豊川悦司と言うから更に驚いた。
加藤と言えば旧日本軍の軍服を纏い、あの嶋田の人間離れした邪悪な面構え…と言うイメージが強過ぎるのかもしれない。
だが、それほど『帝都物語』における嶋田の加藤は、あまりに衝撃的であり強烈なインパクトがあったのだ。
何はともあれ敵は魔人・加藤であり、聖剣を委ねられた少年と妖怪軍団の戦いを描く作品になる事が判った。
今回は加藤単体ではなく、加藤は“機怪”と呼ばれるロボット怪獣を操ると言うではないか? さっきまでの不安は消え去り、自分の中で観たい!と言う気持ちが高まった(笑)。
さて、また例によって前置きが長~くなってしまったが(自嘲)、不安と期待を抱えて劇場で観た。
いや~僕は本作の監督があの三池崇史である事を忘れてました、こんなアブない監督に豊潤な予算を与えて映画を撮らしたらどんな事になるのかを皆さん忘れてましたね。
もう子供から大人までしっかりと楽しめる超一級の娯楽映画であり、しっかりと『妖怪大戦争』とタイトルを持つにふさわしい内容に仕上がってました。
ただの夏休みの子供向けの映画だとなめてかかると痛い目に遭います、三池監督の歪んだ感覚や毒が予想以上に満載されしっかりと「怖い」映画になっていた。
もうエログロに加えて、ナンセンスかつ鬼畜で不道徳なギャグが詰まった究極のバカ映画の傑作でありますわ。
エロを担当するのが川姫(高橋真唯)とアギ(栗山千明)、しっとり濡れた肉感的(あの太股!)な川姫、肌の露出と胸の谷間やスタイルの良さを強調したアギは、子供向き映画の領域を越えたエロさで三池監督の“黒い”部分が見れる。
主人公のタダシを演じる神木隆之介君の美少年ぶりも圧巻! 訳も判らぬままに麒麟送子として、必死に加藤に立ち向かう姿は素晴らしい。
あと阿部サダヲ演じる河童の川太郎には、昭和版の『妖怪大戦争』の匂いを感じさせる重要なキャラであり、ラストの美味しい所を全てさらって行ったナイナイの岡村さん演じる小豆洗いも秀逸なキャラだった。
そして肝心のトヨエツ版加藤だが、嶋田版加藤よりも爬虫類っぽくて、やる事にいつも見栄を切りカッコつけまくる姿は嫌味なまでにクールだ。
やはり嶋田版加藤でやって欲しかったと言う声も多いが、僕個人はコレは充分にありな範囲だと言える。
妖怪達が加藤とヨモツモノによって“機怪(デザインは韮沢靖!)”に改造されるドロドロ・グチョグチョの描写や、その機怪達が人間達を問答無用で殺戮する展開は予想外のグロさと怖さだった。
そして本作にはしっかりと“笑い”の要素を詰め込んでいる、もうベタベタなギャグからブラックなモノまで抱腹絶倒だ。
先日『亡国のイージス』を観た直後だったので、あの作品で感じた不満が本作には全く感じられなかった。
そこはさすが三池監督と言うべきか、本作の持つ爆発的なバカな勢いは観終わった後に壮快感を与えてくれる。『亡国~』の様に肝心な所で妙に“大人”になった演出をし作品の持つ勢いを殺していない、もう居直ったバカさと毒をバラ撒きながらラストまで突き進む展開は本当に素晴らしい。
だが本作に問題が無い訳ではない。
一緒に観ていたヨメも指摘し怒っていたが、本作が決して完全版ではないであろう事だ。
話の流れが唐突であり不自然で説明不足だったりする、三池監督の事だから出来たのは3時間近い“完全版”の存在の匂いがプンプンしてしまう…。
あと、個人的にはあの意味心なラストは正直?って感じた。
コレなら3部作ってのも全然無理はない、是非まだ神木君が子供である段階で映画を撮るべきでは?!
今度こそダイモンの復活? いや製作に御大水木しげる氏が関わっているので、人間に失望した発狂した鬼太郎と戦うってのも悪くないのでは!?
イヤ~ホンマに楽しい作品でした、正に子供~大人まで楽しめる娯楽映画の新たな傑作の誕生ですな。
まだまだ麒麟送子の活躍が観てみたい、コレだから三池監督の作品は全く侮れないのだ。