ざっくばらん(パニックびとのつぶやき)

詩・将棋・病気・芸能・スポーツ・社会・短編小説などいろいろ気まぐれに。2009年「僕とパニック障害の20年戦争出版」

正体

2017-01-11 22:19:14 | Weblog
さらに太陽は届かなくなった

だから心は凍るしかない



ラジオから流れるリスナーの幸福なメール

僕はそれに頬を緩めている

自分のお人よし加減に嫌気が差す




この行き止まりの看板は何だ

この孤独は何だ

お前は誰だ


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今年の目標

2017-01-10 23:06:08 | Weblog
このありきたりなタイトル。今日は皆さんを無視して(笑)自分の目標を考えてみます。書いておけば、今年の途中で見直すことも出来るかなと。

まず、詩でも何でもいいから、作品を1日1つ作る。まあ、無理なんですが、でも、そういう意気込みでいないと、やはり数多くは作れないと思うので、無謀な目標を書き残しておきます。正直、去年、短編小説を掲載して、自分が予想している以上に見てもらえた事が励みになりました。だから、今年も何らか表現をしていけたらと思います。

あと病気ですね。長い付き合いの不安神経症(パニック障害)ですが、これは難しい。まず、薬を飲むこと。何度か減薬したこともありますが、生活が成り立たなくなってしまう。薬は毒なので、飲まないに越したことはないけれど、日常生活を送れなくては意味がないので、飲み続けるしかありません。あとは何とか行動範囲を広げたいです。

仕事。店の経営です。これも特効薬はないですね。年々、ジリ貧です。まず、続けていくことが第一。まあ、流れを変えるしかないけれど、これまで通りの事をしていたら、現状維持はおろか、落ちていくだけという事は肝に銘じておきたいです。

最後に、このまま独りでいいのかということ。これはもっと真剣に考えなければいけない。自分の場合は、独りで生きていくしかないと思ってはいます。しかし、40代も折り返しの年齢になり、何だか孤独が増していく状況にあるように感じます。仕事以外に自分の居場所を作る事が、自然な感じで出来ればいいのですが。相当なエネルギーが必要なのかなと。また、若い頃のように、病気のことを隠して人と付き合ったりしたら、自分が大変なだけなので、それは避けたいです。もし出会いがあったなら、それとなく話し、気楽な人間関係が気づければいいのですが、なかなかね。
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しあわせの記憶(1985・10.16)

2017-01-09 22:44:54 | Weblog
昨日、渡辺謙主演の「しあわせの記憶」を見ました。謙さんの元妻役に麻生祐未、娘役に北川景子、二階堂ふみという豪華キャストでした。

何より、渡辺謙さんが格好よかった。「りんご農園はあんちゃんが継いでる」という軽いジャブ。杏ちゃんも立派な女優になりました。実の娘と同い年の北川景子が良くできた長女で、二階堂ふみ演じる次女は、優秀な姉を見て育ったせいか、自分に自信の持てない子です。そして、彼女と新しい家庭を築きたいと願う男性と、新たな人生を歩み始める麻生祐未演じる元妻。それを受け入れ、温かく送り出した謙さん演じる夫。娘たちもそれぞれ旅立ち、一見ばらばらになったように見える家族。しかし、これまで積み重ねてきたしあわせの記憶によって、固く結ばれているという物語でした。

北川さんはやはり、演技面でかなり成長したように感じます。綾瀬はるかが、国民的女優という立ち位置に慢心した訳ではないのだろうけど、伸び悩んでいる間に、北川さんは着実に力をつけた。こうなると、男性のみならず、同姓である女性にも支持されるようになるんですよね。

この家族の最初の幸せの記憶が1985年10月16日でした。夫と妻が出会った日。阪神タイガース21年ぶりのリーグ優勝。掛布のホームラン。佐野の犠牲フライまで台詞に盛り込んでくるとは。

僕もよく覚えています。しあわせの記憶ですね。尾花から打った掛布のホームランは確かレフトのポールを直撃したと思います。彼らしい逆方向への流し打ち。この追撃の39号ホームランで1点差とし、佐野の犠牲フライで同点に追いつき、引き分けで優勝を決めました。夜のヒットスタジオという歌番組の中で、放送していました。

この年の八月、日航ジャンボ機が墜落し、500名以上の方が亡くなったのですが、その中に阪神の球団社長も含まれていました。それから2ヵ月後の歓喜。空前絶後の虎フィーバー。思えば、日本の野球界も、この頃が最も幸福な時だったのかもしれません。大横綱、白鵬が生まれた年。とてつもない時間が流れました。


話題は変わりますが、爆笑問題の田中さんの妻、山口もえさんが妊娠したそうです。なんだか、全く再婚同士という気がしない微笑ましい夫婦ですね。田中さんは周りを幸せにする才能を持っている人だと思います。相方の太田さんも、いくら才能があろうとも、田中さんとの出会いがなければ、ここまでは来れなかったでしょう。病院で「おめでとうございます」と妊娠を告げられたその日は、田中さんにとって、しあわせの記憶として生涯、残るのでしょう。
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いきものがかり、活動休止

2017-01-05 23:20:49 | Weblog
ブルースが加速しそうな2017年。思えば、このブログも13年目になります。今年も出来る限り、何かを表現したいとは考えているのですが、自信はありません。体調面もあるし、パソコンがそろそろまずいし(笑)

いきものがかりが、活動休止を宣言しました。彼らは「放牧宣言」としていますね。確かに、いったん、生き物たちを開放させてあげるというのも、大切かもしれません。また、それを飼育する係も疲れますしね。

僕は結構、いきものがかりは好きで、かつてこのブログにも「吉岡さんの歌声はいい。青春の香りがする」と書きました。いい曲、いっぱいありました。「帰りたくなったよ」「ノスタルジア」とか。今後、彼らが年齢を重ねるにつれ、どう春夏から秋冬物に着替えていくのか、注目していました。今回の活動休止も、青春の幻影、残り香にピリオドを打ちたかったのかもしれません。

こないだまで書いていた「大人になるにつれかなしく」という小説は、主要な登場人物は男性2人、女性1人で、いきものがかりと重なり、物語の終りの年代は、まさに彼らと同世代の30代前半でした。ヒロインの有紗と吉岡さんは同い年ぐらいかな。この年代で終りにしたことに深い意味はないけれど、ただ、有紗の美しさが物語のひとつの要素だったので、このあたりの年代で終わらせた方がいいかなというのはありました。

とにかく、いきものがかりにはゆっくり休んで、また元気な3人揃った姿が見たいものです。そして、このブログは、細々とでも続けていけたらいいのですが。小説はマラソンのようで疲れたので、詩でも書こうかなと思っています。勿論、タイトルどおり、ざっくばらんにジャンルを問わず、書いていきたいです。

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大人になるにつれ、かなしく(終)

2017-01-03 14:00:38 | Weblog
僕は高校を立ち去り、帰り道を歩く。白川さんの喫茶店も通過し、駅へと向かう。自動改札を抜け、ホームに立つ。そういえば、藤沢と有紗の後を追って、自分で勝手に傷ついたのも、この季節、終業式の日だった。あの時と同じ場所に立っている。列車は模様替えこそしたが、プラットホームで一休みし、新しい人々を吸い込み、古くなった人々を吐き出す行為に変わりはない。

僕は線路の向こう側の右端に目を移す。制服姿の藤沢と有紗が、抱き合っていた場所。そこをぼんやりと眺めていた。いつしか、あの頃の彼らが浮かび上がり、僕の体の内側から込み上げてくるものがあり、目が霞んで、それが夕陽と相まって、綺麗だった。あの時の涙とは違う。なぜなら僕はいま、笑みすら浮かべているのだ。(終)


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多くの方に読んでいただきました。ありがとうございます。


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大人になるにつれ、かなしく(60)

2017-01-03 12:16:51 | Weblog
かつて、毎日のように自転車で通った通学路。歩くと、意外と距離がある。駅前はクリスマスムード一色だが、次第に、華やかな12月は失われていく。肌に突き刺す風が、枯葉すら奪われた裸の木々が季節を主張しているだけだ。僕は藤沢の喜ぶ顔見たさに、印象深い建物や街路樹、アスファルトに至るまでスマートフォンで撮った。喫茶店「樹々」から12、3分。母校のK高校の校庭では、いくつもの運動部が活動していた。十数年前とそれほど景色は変わらない。サッカー部だった藤沢も、この場所で夢中でボールを追いかけていたはずだ。

陸上部に目を移す。楽しそうに走っていた有紗。自らを追い込んで走っていた有紗。夕陽が、彼女の肌を赤く染めた日々を思い出していた。あの頃と変わらない場所で、夕陽は校庭を照らしている。赤く照らされた彼らは眩しかった。やる気のある、なしを問わず、彼らは一様に輝いているのだ。記憶の中の藤沢も、有紗も、あろう事か、冴えなかったはずの坂木誠まで輝いている。

僕は否定しようとした。自分はあの頃よりも色々な物を手に入れた。しっかり者の妻、2人の幼い子供、臨床心理士、出版した本は5万部を超え、10万に迫ろうとしている。そのおかげで、臨床心理士として、いくつかの病院から誘いを受けている。あの頃の自分なんかに負けるはずがない。理屈では間違っていない。しかし、何故だろう。目の前で汗を流している彼らの頃に戻りたいという感情は。何故、大人になるにつれ、悲しくなるのだろう。僕は母校の写真を一枚も撮ることができなかった。
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大人になるにつれ、かなしく(59)

2017-01-03 10:27:34 | Weblog
喫茶店「樹々」のカウンター。

「そうか。藤沢君、施設に移されるのか」

白川さんの顔はいつになく神妙だった。

「病院としては良くなる見込みの薄く、かといって直ちに命に別条のない患者は、退院させたいんですよね」

僕は窓際の席に、向かい合って座っている高校生のカップルに目を向けた。かつて僕が通っていた頃の制服と変わっていない。

「なかなか美男美女の組み合わせじゃないですか」

僕は声を絞って言った。

「ああ、あの子達。そうだね。あの二人、見てるとねえ、藤沢君と有紗ちゃんを思い出すよ。君がいない時は、彼らもあの席に座っていた」

「それにしても、少し幼くありません?孝志と矢野と比べると」

「いやあ、そうでもないよ。確かにあの二人は大人びてはいたけど、それでも、あどけなかったよ。誠君はさらに幼かった」

白川さんは遠くを見つめるような目をしていた。僕は少し恥ずかしかった。

「でも、あのカップル、見込みありますよ。今の時代、チェーン店に入らず、この店を選ぶなんて、センスがあるな」

「このあたりもだいぶ、チェーン店が増えたからね。なかなか難しい時代になったよ」

白川さんが苦く笑う。

「そういえば、亜衣がこの店を手伝いたいらしいですよ」

「ああ、そう」

「お義父さんも、ランチの時間とか、一人じゃ大変でしょ」

「ううん、昔はお客さんは多かったけど、今の方がきついな。やっぱり年かね」

「だから父娘でやればいいじゃないですか。亜衣はこの店への思い入れが強いみたいです。俺だってこの店に残っていて欲しいですよ」

僕は冷めたコーヒーを飲み干した

「そろそろ、いかなきゃ」

「どこに?」

「学校へ行ってみようかと。この前、喫茶店の写真を孝志に見せたら、凄く嬉しそうで。だから、今度は母校でも撮ってこようかなって」

「そうか、孝志君、喜んでたか」

白川さんは静かな笑みを浮かべた。僕は店を出て母校へと向かった。


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大人になるにつれ、かなしく(58)

2017-01-02 23:18:43 | Weblog
僕はそろそろ帰ろうと思い、椅子に座りながらカバンを抱えた。藤沢が遠く離れた施設に移されるという話に、暗澹たる気持ちに陥っていたのだが、かろうじて有紗に渡すものがあったことを思い出した。僕はカバンから包装された小箱を取り出した。そんな時に有紗は言った。

「輝きしか見せなかった高校時代の親友と彼女に、いまの姿を見られて、孝志さんは心の奥では、泣いているのかな」

「そうかもしれないね。これ、プレゼント」

極力、明るい声を出したかったのだが、声が情けないほど力を失っていた。

「これ、私に?」

有紗は怪訝そうな顔をした。

「うん」

「ここで、開けてもいいかな?」

「ああ、勿論」

有紗は器用な手つきでリボンを解き、包装紙を剥き、箱を開けた。

「うわあ」

有紗は目を輝かせた。僕は安堵した。少なくとも受け取っては貰えそうだ。

「矢野は7月生まれだよね」

「よく覚えてるね」

そう言いながら、有紗はルビーのネックレスを器用につけた。美しい鎖骨にルビーが輝いている。

「よく似合うね」

本当は凄く綺麗だねと言いたかった。有紗は早速、手鏡で確認している。

「ありがとう。本当に嬉しい。ネックレスをプレゼントされるなんて何年振りかな」

僕には有紗が心から喜んでいるように見えた。しかし、もしかしたら彼女は演じているのかもしれない。「坂木君、私は物凄く嬉しいよ」という優しい演技を。或いは印税も拒否し、このささやかなプレゼントを拒否しては僕が傷つくのではないか。或いは藤沢の移転で落胆している僕に、かすかな喜びを与えようとしているのか。常に、僕の一枚も二枚も上を行く人だから。昔からそうだった。

「安物だから気軽に使ってよ」

「これが安物じゃないことぐらい、私にだって分かるよ」

有紗の声が擦れていた。涙が頬を伝っていた。僕にはそれが、宝石よりも美しく映った。


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大人になるにつれ、かなしく(57)

2017-01-02 21:59:43 | Weblog
K病院の3階の病室に斜陽が差し込んでいる。僕が藤沢を見舞う時は大概、彼は眠っているのだが、この日は起きていて、僕の姿を見るなり、声を発して、笑っている。

「孝志に見せたいものがあるんだ」

僕はスマートフォンを取り出す。

「懐かしい場所が写ってるよ」

彼の枕元に立ち、写真を見せる。

「えっ、なになに?」

有紗も覗き込んでくる。スマホの中に白川さんの喫茶店。外観から店内、カウンター、コーヒー、パスタ、ケーキ、そして白川さん、亜衣、子供たち。僕が写真をめくる度に、藤沢は楽しそうに声を発する。

「分かっているのかなあ?」

僕は有紗に尋ねる。

「どうかなあ。もしかしたら、おぼろげにでも、記憶が残っているのかもしれないね」

「そうか。でも、好評だったから、また何か、撮ってくるよ」

「うん。孝志さん、本当に嬉しそう」

狭い空間に和やかな空気が漂っていた。僕は次の行動に移ろうとしていたが、少し躊躇していた。わずかな沈黙があり、それを破ったのは有紗だった。

「もう少ししたら、この病院出なきゃ行けなくなった」

「えっ」

「そろそろかなとは思ってたんだけどね」

「病院に移るの?まさか退院して自宅に戻れって?」

「介護施設になると思う。この辺りからだと、少なくても2時間はかかる場所になりそう」

「いや、それはどうなんだろう?矢野だって頻繁に行けなくなるし、自分もほとんど見舞えなくなる。見知らぬ場所や人に、孝志は順応できるのかな?仕方ないのかもしれないけど、環境的に良くないような気がするね」

「うん。私もそう思うけど、自宅は難しいし、これしか選択肢がないのかなって思ってる」

僕はもはや返す言葉が見当たらなかった。いつのまにか夕陽は沈みつつあり、冷徹な光の存在感が増していた。


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大人になるにつれ、かなしく(56)

2017-01-02 21:16:14 | Weblog
大学病院での患者へのカウンセリング終了後、いつものようにインスタントコーヒーを飲み、携帯のメールをチェックしていた。山野氏から「5万部突破しました」との連絡。こないだ山野氏と電話で話した時、もうすぐ5万は越えると聞いていたので、さして驚きはなかった。彼は前のめりで、「10万部はいけると踏んでいる」と鼻息荒く言った。さらに「次の作品の準備をして欲しい」と貪欲さを隠さない。

しかし、僕には当分、本を出版するつもりはない。「すぐに使える認知行動療法」でアウトプットしたのだから、しばらくはインプットに専念しなければならない。臨床心理士の資格とて、絶え間なく実践と研究を積み重ねていかなければ、維持できるものではない。

それに、この本を出版した動機は、有紗に本に携わる仕事を続けて欲しかったからだ。藤沢の回復しだいでは、退院して自宅介護という可能性もなくはない。それは喜ばしい事だが、有紗が書店員の仕事を続けるのは困難になる。出版することで、書店員としての有紗を自分なりに守ろうとしたつもりだった。出版が決まってからは、万一、印税が入ったら、有紗に半分渡すつもりだった。だからこそ、売れる本を書こうという意識が芽生えたのだ。しかし、その話をしても、彼女は相手にすらしてくれなかった。だから、もう本を書くエネルギーはない。

この後、K病院へ向かうつもりだ。藤沢に見せたいものがあるし、有紗に渡したいものもある
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