僕は高校を立ち去り、帰り道を歩く。白川さんの喫茶店も通過し、駅へと向かう。自動改札を抜け、ホームに立つ。そういえば、藤沢と有紗の後を追って、自分で勝手に傷ついたのも、この季節、終業式の日だった。あの時と同じ場所に立っている。列車は模様替えこそしたが、プラットホームで一休みし、新しい人々を吸い込み、古くなった人々を吐き出す行為に変わりはない。
僕は線路の向こう側の右端に目を移す。制服姿の藤沢と有紗が、抱き合っていた場所。そこをぼんやりと眺めていた。いつしか、あの頃の彼らが浮かび上がり、僕の体の内側から込み上げてくるものがあり、目が霞んで、それが夕陽と相まって、綺麗だった。あの時の涙とは違う。なぜなら僕はいま、笑みすら浮かべているのだ。(終)
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多くの方に読んでいただきました。ありがとうございます。
僕は線路の向こう側の右端に目を移す。制服姿の藤沢と有紗が、抱き合っていた場所。そこをぼんやりと眺めていた。いつしか、あの頃の彼らが浮かび上がり、僕の体の内側から込み上げてくるものがあり、目が霞んで、それが夕陽と相まって、綺麗だった。あの時の涙とは違う。なぜなら僕はいま、笑みすら浮かべているのだ。(終)
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