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小田博志研究室

研究情報とブログを掲載

「蟻の兵隊」

2006-10-03 | 映画
 ドキュメンタリー・フィルム「蟻の兵隊」の先行上映会に行ってきた。(シアターキノ主催、共済ホール)  時差ぼけのねむねむ状態で、実際、途中うとうとしかけたが次第に強く引き込まれていった。  歴史の中には知られていない出来事が、ほんとうにたくさん埋もれていることを実感。「日本軍山西省残留問題」はその一つ。この映画の主人公、奥村和一さん(80)はその当事者だ。彼は陸軍兵士として中国山西省に出兵した . . . 本文を読む

「ザ・コーポレーション」

2006-06-06 | 映画
 東京で話題になっていたドキュメンタリー映画「ザ・コーポレーション」が札幌にやってきた(蠍座)。  「コーポレーション=企業、会社、法人」というものに切り込んでいく。「企業」というものは僕たちの生活のすみずみにまで入り込んでいる。それにもかかわらず、それをこれほど対象化して捉えられた機会は、もしかしたらはじめてかもしれない。その意味でこれは観る価値のある問題作だ。  企業の目的は利益をあげる( . . . 本文を読む

ダルデンヌ兄弟の映画

2006-05-27 | 映画
 「イゴールの約束」と「ある子供」の二作品を続けて観ることができた。  ベルギーのダルデンヌ兄弟の監督。前者は1996年、後者は2005年の上映で、9年の隔てがある。ジェレミー・レニエが両方に主演していて、その成長ぶりも確認できるという面白い組み合わせだ。蠍座館主の見識が光る。  「イゴールの約束」の方は、「不法移民」斡旋業の父子と、その手引きでベルギーに住みついたあるアフリカ人家族との関わり . . . 本文を読む

札幌映画館事情

2006-05-22 | 映画
 札幌の映画館について。  上映スケジュールはムーヴィーウォーカーのページを見れば一目瞭然。  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  蠍座(さそりざ)の座席がすごく良くなった。  と言っても、札幌の映画好き以外には何のことか分からないだろう。  蠍座とは札幌駅を北に行ったところにある映画館(中央区北9西3)。最近座席を入れ替えた。フランスのメーカーへの特注品で、実にゆった . . . 本文を読む

「エレニの旅」

2006-02-05 | 映画
 札幌は深い雪に包まれています。  今日、自宅の部屋の中から、バルコニーを眺めるとこうなっています。手前は、雪の丘のように見えますが、バルコニーに積もった雪です。手すりは余裕で雪に埋まっています。   さて、テオ・アンゲロプロス監督の「エレニの旅」の話。昨年、日本公開されて話題になった映画です。劇場で観逃していたのを、DVDで観ました(こうした良質な作品を、丁寧にDVD化してくれる紀伊国屋 . . . 本文を読む

「歓びを歌にのせて」

2006-01-21 | 映画
 「シアターキノ」(札幌市のコミュニティシネマ)で、「歓びを歌にのせて」を観た。  僕はてっきりウーピー・ゴールドバーグが出いていた「天使にラブソングを」のような、陽気系エンターテイメントかと思っていたが、ぜんぜん違っていた。こちらは襞の細やかな人物描写が特徴の、観応えある作品だ。  世界的名声を博すまでになった指揮者ダニエル。しかし公演中に心臓発作で倒れ、子どものころ離れたスウェーデンの故郷 . . . 本文を読む

「スタンドアップ」

2006-01-18 | 映画
 「スタンドアップ」。これは観る価値のある映画。  舞台は1980年代のミネソタ。夫からのドメスティック・バイオレンスにたまりかね、子連れで家を飛び出した主人公ジョージー。故郷の町に戻り、二人のわが子を養うために鉱山で働き始める。しかし「男の職場」という観念に支配された鉱山で、ジョージーは男たちからすさまじい嫌がらせを受ける。  「セクハラ」という概念も、またそれが人権侵害だということも定まっ . . . 本文を読む

「ロード・オブ・ウォー」

2006-01-08 | 映画
 映画「ロード・オブ・ウォー」(アンドリュー・ニコル監督、ニコラス・ケイジ主演、2005年アメリカ)は問題作。面白かった。  ウクライナからユダヤ人を偽って米国に移住してきた一家の長男、ユーリー・オルロフが、武器商人となって生きていく様を描いた映画。銃器や地雷を売る人間がいなければ、90年代から今まで続く世界各地の「内戦」はそんなに凄惨にはならなかったはず。これはそうした人間たちにフォーカスを当 . . . 本文を読む

天使の街ベルリン(10/3)

2005-10-03 | 映画
 現在のドイツの首都ベルリンには、発展の勢いがあります。また無数の劇場、コンサート・ホール、オペラ座、映画館、博物館...があって毎日どこにいこうか迷うほどです。歴史的にも、文化的にも本当に魅力的な都市です。しかしここは僕にとってあまり居心地のよい場所ではありません。たんに大都市だからということではないように思います。電車や地下鉄のほぼ全ての窓ガラスに乱雑に刻まれた引っかき傷。第二次世界大戦末期に . . . 本文を読む

「ゾフィー・ショル」(4/3)

2005-04-03 | 映画
 ドイツの映画館入場料は日本と比べて安いです。通常の公開で大人1人800円から1000円くらいでしょうか。だから学生も気軽に映画館に行きます。奇妙なのは外国映画は字幕入りではなく、原則吹き替えであること。ですから「シャル・ウィー・ダンス」の竹中直人も、「アナライズ・ミー」のロバート・デ・ニーロもドイツ語で喋ることに。声も演技の内と考えると吹き替えは残念ですが、留学生にとってはドイツ語の聞き取り練習 . . . 本文を読む

「タッチ・オブ・スパイス」(3/12)

2005-03-12 | 映画
 ギリシャとトルコとの関係の微妙さを意識したのは、クレタ島のホテルでオーナー夫妻の話を聞いたときだったろうか。この夫妻はギリシャ人で、たしか、イズミル(現在トルコの都市)でトルコからギリシャ人がいかにひどい目に遭わされたかといった話だったと記憶している。また1999年にトルコとギリシャ両国で大きな地震が発生したことがあった。そのとき互いに救援隊を派遣し合ったことが、なんだか歴史的な大事件のように報 . . . 本文を読む

「ターミナル」(1/15)

2005-01-15 | 映画
 お正月シーズンだからか、近ごろ魅力的な映画がたくさん公開されています。その中で「ターミナル」を観たのは、その舞台に興味があったから。国と国との「境の場所」つまり、国際空港のターミナルで、祖国に帰れなくなった男が閉じ込められてしまうという物語。監督スティーブン・スピルバーグ、主演トム・ハンクス、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ。これは予想を上回って、すごくいい映画でした。 アメリカの空港に主人公のビク . . . 本文を読む

真珠の耳飾りの少女(5/21)

2004-05-21 | 映画
 ヨーロッパでの楽しみの一つは、美術館を回ることにあります。テレビや画集では伝わらない、本物の力を体験できます。例えばミュンヘンにあるレンバッハ・ハウスでは、色の洪水のごときカンディンスキーの風景画に目を奪われました。フィレンツェのウフィッツィ美術館で、ボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」を前にしたときには、絵の中から轟々と風が吹いてくるのを感じました。同じフィレンツェのサンマルコ修道院にはフラ・ . . . 本文を読む