ちょっと前になりますが,RIETIのサイトで私淑するあの川口大司先生が「一律15%削減でも構わない」という文章を 載せておられて,やっぱりそうだよなあ,と思いました.やっぱりと思うくらいなら最初から言えばいいのにと反省はしております.はい.さて,川口さんのポイントはわりかし簡単で,「電力料金を上げるのもいいけどいくら上げていいかよくわかっていない.失敗したときのコストは大規模停電という形で大きく発生するから,直接に量を規制してもよい」というものです.総量を規制するなら排出権取引みたいに電力取引を事業者間(電力会社との間で,ではなく)で行えばいいじゃんと議論は続きます.
たしかに,外部性の例としてよく持ち出される公害規制や環境のはなしをするときにも,もし限界費用か限界便益の情報が不確かで,量を制限することに重点が置かれるのであれば,不確実なピグー税を用いるより直接的な量的規制のほうが事前の(期待値ベースでみた)社会的な費用は小さくなる,という議論をすることがあります.ぼくも学部のゼミでこんな話を聞いた気がしますし,Leachの公共経済学の教科書にも載っていたような.
排出権取引のような仕組み(共同制限使用スキーム)はすでに導入されていて,METIはさすがになかなかやるな,と思います.ついでにいえば「違反すると1時間100万円」というのも(2段階の)従量税みたいなものなんだから,価格メカニズムと言えないこともないですね(禁止的に高いだけで).もし共同制限使用スキームが利用されているとすれば(オムロンはビジネスとして参入するみたいです.これ),参加した事業者間で金銭のやり取りが行われていれば(直接的にではないかも),その情報から価格弾力性も求めることができて,来年以降の制度設計に資するかもしれません.
RIETIのサイトでMETIを褒めているのもなあ,というのも思ったり思わなかったり.ええ,川口さんはそういう方ではないですけど.