知らなかったのですが,先週,統計法が全面改正されたそうで.
改正統計法が成立:国が集めたデータを大学や研究機関が2次利用することを認める改正統計法が16日、成立した。同日午前の参院本会議で全会一致で可決された。2005年の国勢調査で相次いだ調査票のだまし取りを防止するため、偽の調査への罰則を新設。内閣府に統計委員会を設け、5年ごとに基本計画を作成することも盛り込んだ。(NikkeiNet)
これまでは「統計法の縛りがあるので,官庁統計の調査票(個票)」にはアクセスできないんだよね,というように言われていました.根拠となる条文は旧統計法の第15条.
第15条 何人も、指定統計を作成するために集められた調査票を、統計上の目的以外に使用してはならない。
○2 前項の規定は、総務大臣の承認を得て使用の目的を公示したものについては、これを適用しない。
この後半の規定によって,「目的外使用」は認められていました.実際のところは,官庁のなかに公的なポジションを持っていたり,コネクションがあったりすると,統計局の承認がとりやすい,というか,そうじゃなきゃほとんど無理,と感じられていました.さて,今回の改正統計法はどうなっているかと(授業の準備として),総務省の統計法案の「法律案・理由(PDF)」を見てみたところ,なれないのでどれがその規定なのかわからないのですが,たぶん第35条・第36条がそれにあたるのではないかと.
第35条(匿名データの作成) 行政機関の長又は届出独立行政法人等は、その行った統計調査に係る調査票情報を加工して、匿名データを作成することができる。
2 行政機関の長は、前項の規定により基幹統計調査に係る匿名データを作成しようとするときは、あらかじめ、統計委員会の意見を聴かなければならない。第36条(匿名データの提供)行政機関の長又は届出独立行政法人等は、学術研究の発展に資すると認める場合その他の総務省令で定める場合には、総務省令で定めるところにより、一般からの求めに応じ、前条第一項の規定により作成した匿名データを提供することができる。
法律の運用というのを全然知らないのですが,ちろっと聞いたところによると,総務省令等をきめたりするので実際の提供開始はすぐ,というわけにはいかず,ちょっと時間がかかるらしいです.となるとまあ,2009年度くらいではないかしら.
ちなみに,お急ぎの方は,学術研究のための政府統計ミクロデータの試行的提供というのを,一橋大学経済研究所附属社会科学統計情報研究センターが行っておりますので,ご利用になるとよろしいのではないかと思料いたします.
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