いろいろあって,政府の予算制約というのについて調べております.数年前でしたか,日本の財政の維持可能性がああだこうだ,という議論があったりして,ドーマー条件がどうだこうだと話題になったんだそうですが(←よく知らない),それについてちろちろ探していたところ.財政の維持可能性問題といわれるものは,1986年のHamilton and Flavin (A.E.R.)の論文以来,単位根とか共和分とかを使って分析されるようになっているみたいです.日本だと,慶応の土居先生がやってらっしゃいました(他にもいらっしゃるんでしょうけど).で,たとえば利払い費とプライマリバランスが共和分関係にあってそのベクトルがこれこれだったら維持可能だ,とか,どうもそういう話になってるんだそうで,帰無仮説が受容されれば維持可能,棄却されれば維持不可能,ということになるんだそうです.
いやでもそんなことないんだよね,no-Ponzi game conditionは遠い将来の残高の割引現在価値だから任意の次数の和分の系列であれば満たされちゃうんだよねー,だから共和分関係を調べたら財政の維持可能性がわかるってもんじゃないのさ,という論文がありまして.前にちらっと見たような気もしますけど.でも,こういうの見つけちゃうと,どうしたらいいんでしょうね(なにを?).
Bohn, Henning. 2007. Are stationary and cointegration restrictions really necessary for the intertemporal budget constraint? Journal of Monetary Economics 54, 1837-47. [ScienceDirect]