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詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

J・J・エイブラムス監督「スター・トレック イントゥ・ダークネス」(★★)

2013-08-19 09:01:24 | 映画
監督 J・J・エイブラムス 出演 クリス・パイン、ベネディクト・カンバーバッチ、ザッカリー・クイント


 きのう感想を書いたジュリー・デルピー監督「ニューヨーク、恋人たちの2日間」(★★★)のつづきでいうと、この映画はアメリカ個人主義+アメリカ民主主義+アメリカ帝国主義の「教科書」みたいな映画。アメリカというのは一対一の関係を拡大したチームのようなもの。この映画でいうと、ジム(船長)とスポックは親友だけれど、スポックは必ずしも他のクルーと親友ではない。船長を中心にチームを作り、それぞれが自分の「持ち場」で力を発揮し、チームとして「総合的」に難局を乗り切る。あ、アメリカの理想主義も、ここに入っているね。
 ストーリーも、それぞれが活躍して、統合されて成り立つ。演技は個人の魅力をあふれさせてはだめだし、遊んだりすると、映画にならない。監督が特権で全体を統合してゆく。アメリカの軍隊の宣伝にはなるかもしれないが、おもしろいとは言えないなあ。
 宣伝で監督が「登場人物のキャラクターがすごい」といっていたが、おもしろいのは悪役のベネディクト・カンバーバッチくらい。彼がなぜおもしろいかといえば、彼だけがチームに属さず、「個人主義」を生きているからだ。フランス人風に「俺はこれがしたい」と自己流に逸脱してゆくからだ。映画のストーリーは、ベネディクト・カンバーバッチの逸脱、暴走を制御するという具合に展開するので、彼が完全に魅力を発揮できるわけではない。つまり、悪役なので、やっつけられておしまい、ということになるのだが。
 で、こういうストーリー至上主義、役者に遊ぶ余裕を与えない映画というのは、見せ所がどうしても「装置」になってしまう。そして、それはおおがかりになればなほど、とんでもない嘘になる。映画だから嘘でもかまわないといえば、ま、そうなんだけれど。巨大な宇宙船がニューヨークに落ちたら9.11どころじゃないだろう。原子炉の内部へ防護服もつけずに入って作業して、それでも生きている。いやあな嘘が大手を振るようになる。
 アメリカ(人)の思考形態の研究には最適の映画ではあるね。
       (2013年08月18日、天神東宝5)
    
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Unknown (Unknown)
2013-08-26 01:24:02
失礼ながら娯楽映画は今後ご覧にならないことをお奨めいたします。
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