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詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

ジョージ・C・ウルフ監督「最後の初恋」(★+★)

2008-10-10 00:04:03 | 映画
監督 ジョージ・C・ウルフ 出演 リチャード・ギア、ダイアン・レイン、スコット・グレン

 とてもつまらない映画である。手術に失敗し患者を死なせてしまった外科医と、浮気した夫が女に捨てられて戻ってきた女。二人が出会い、恋に落ちる。海のある田舎町。海辺のホテル。
 ただ、一か所、とても美しいシーンがある。
 リチャード・ギアに向かって、スコット・グレンが死んだ妻のことを語る。
 「妻とは高校時代からの知り合いである。高校時代から顔に出来物があった。自分は気にならなかったが、妻はそれを気にしていた。そして、手術をしたいと言った。愛してくれているあなたのためにきれいになりたいと言った。手術なんかしなくてもきれいなのに、と止めたけれど聞き入れてもらえなかった。……」
 すべてをことばで語ってしまう。映画としては、ほんとうはおもしろくないシーンである。
 ところが、演じるスコット・グレンが非常にいい。
 話している内容を超えて、顔で見事に演技している。どんなに妻を愛していたか。妻がどんなに自分を愛していたか。それを、真剣にリチャード・ギアに向かって語る。
 どきどきしてくる。
 「さすらいの航海」でキャサリン・ロスがほんの一瞬でてきて、両親に金を渡す。そのシーンに似ている。ぐい、とスクリーンを締める。
 田舎の、実直な夫。浮気なんかはしない。ひたすら妻を愛し、暮らしを愛している。その感じが、座って、話すだけで滲み出てくるのである。
 映画はつまらないが、このシーンだけはもう一度見てみたい。

 一方、その演技を受け止めるリチャード・ギアがさんざんである。スコット・グレンの名演技を受けきれない。涙を流してみせるが、ただ涙を流しているだけであり、そこに感動がない。反省がない。医師とは、まずひとを知ることだ--という基本が伝わってこない。
 みていて、スコット・グレンがかわいそうになってくる。こんな大根役者を相手に、あれだけの名演技をしたのか、と。
 こんなことで、報われるのだろうか。





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