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詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

スティーヴン・スピルバーグ監督「E.T.」(★★)

2011-06-11 17:37:10 | 午前十時の映画祭
監督 スティーヴン・スピルバーグ 出演 ヘンリー・トーマス

 この映画には2か所、好きなシーンがある。ETがクローゼットの縫いぐるみに紛れて隠れるところと、ETがヨーダとすれ違うところ。ETの頭でっかちの体、大きな目は確かに縫いぐるみだ。ETを見たことがないひとがみれば「おもちゃ」とおもうのはあたりまえ。この逆がヨーダ。ヨーダは映画のなかの創作。本物じゃないのにETがETの仲間(宇宙人)と思う。本物を偽物と思うのと、偽物を本物と思うこと。このすれ違いは楽しいね。(このETが何年もたって「ウォーリー」になるのだから、映画は楽しいね。)
 でも、あとはどのシーンをとってもおもしろくない。安直。「子どもだまし」。この映画の後、私はスピルバーグの映画が嫌いになった。
 「未知との遭遇」は大人(リチャード。ドレイファス)が子どものこころのまま宇宙人に夢中になる。その無邪気な感じがいい。科学者たちが夢中になるのも自分の好奇心のため。その夢中さ感じがいい。子どもが「宇宙人を助けなきゃ」と思ってはいけないわけじゃないけれど、子どもってもっと単純でしょ? 自分と違う、変だ、いじめちゃえ、殺しちゃえ――という残酷さの片鱗がないとねえ。純粋な殺意のない「いい子」では、なんだかなあ。
 まあ、私のように「いじわる」な視線で映画を見る必要はないのだけれど。
 それにしたってねえ。「未知との遭遇」で宇宙船のでんぐり返りまで映像化したスピルバーグが、あんなちっちゃな宇宙船で満足するなんて。空飛ぶ自転車も念力?みたいでおもしろくないなあ。ちゃんと科学的に作り上げないと。宇宙船への「電話」を作るくらいなんだから、空飛ぶ自転車くらいETに作らせないと・・・。
 花を蘇らせる力があるなら、植物採取?のためにETたちが地球へやってくるという設定も矛盾だねえ。
 ETに気付く科学者?や軍人たちも、「組織」を感じさせない。全然科学的に見えない。子ども向けの映画(家族向けの映画)だから、これくらいでいいと思ったのかな。
死をちらつかせて涙を誘うって、あくどくない?
映像で押しきれないパワー不足を、友情と死を絡めたストーリーでごまかすなんて、「絵本」じゃないんだからねえ。ストーリーの不完全さ(荒唐無稽)を映像で押し切るのが映画でしょうに・・・。
いったい「激突!」「ジョーズ」のパワーはどこへ消えてしまったんだろう。
それから。
最初の方の子どもたちがゲームをしている時間帯の月。月齢27日くらいなんだけれど、変じゃない? 何時頃の設定? 月齢27日の月の月の出は深夜すぎじゃないのかなあ。アメリカの月の出は日本と違う? 宇宙ものなのに、このずさんさ。許せないね。



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