詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

自民党のキックバック問題

2024-03-31 21:41:26 | 読売新聞を読む

 自民党の裏金、パーティー券収入のキックバック問題。いまでは、だれもキックバック問題とは言わないようなのだが。2024年03月31日の読売新聞(西部版・14版)を見ながら(読みながらではない)、私は不思議な「フラッシュバック」に襲われた。
 見出しに「安倍派元幹部 離党勧告へ」。どうやら、安倍派の大物(?)を処分することで、問題にカタかつけようとしているのだが、ふと私の頭の中に蘇ってきたのが、田中首相の逮捕である。表向きは、やっぱり金銭問題。ロッキードから金をもらっていた。それを適正に処理しなかった。それからロッキード問題はさらに拡大もしたのだが。
 でも、田中が失脚したのは、ほんとうは金が原因ではない。アメリカがベトナムへの自衛隊派遣を要請したのに対し、田中は憲法をタテに拒否した。それを怒ったアメリカが田中を追い落とし、アメリカの政策をそのまま受け入れる首相に代えようとしたのである。田中が「汚れた金」を手にしていたことは、たぶん、だれもが知っている。田中が汚れた金でさらに金もうけをしていたことも、だれもが知っている。ほかの政治家も、数億の金をなんとも思っていないだろう。だれもが少なかれ汚れた金を手にしている。
 私が奇妙に思うのは、キックバックの問題が、だんだん安倍派崩しに動いて行っていることである。「政治資金規正法改正」という問題も動いてはいるが、それよりも自民党内の勢力争いの「地殻変動」のようなものが起きており、それが田中角栄事件を思わせるのである。すでに二階は次の総選挙に出ないと表明し、二階は「自民党処分」の対象外になったようだが、そういう追い落としの動きも、田中角栄、金丸信追い落としの動きに似ている。
 で。
 思うのは、アメリカがやはり裏で動いているのではないか。安倍よりももっと言うことに従うだれかを見つけた。もちろん、岸田のことである。しかし、その岸田が思うようにアメリカ政策を実行できない。岸田を邪魔するやつを追い落とせば、きっとうまくいく。そう考えて、動いているのではないか。
 いまのままでは岸田の支持率は下がりっぱなし。なんとか岸田を首相にしておくために、安倍派をたたきこわしてしまえ。安倍派の幹部に対する国民の批判も強い。ちょうど、田中が庶民宰相ではないとわかったときに、国民が田中を指示しなくなったように、安倍派の議員が金に汚い、権力を悪用しているという評判が高まれば、それを捨ててしまっても国民のだれも文句を言わない。いまが、安倍派をぶっつぶし、岸田政権を支えるチャンスだと「仕組んで」いるのではないか。
 「私は知らない」という安倍派幹部の主張をそのまま受け入れていたはずの岸田の姿勢の劇的な変化を見ると、アメリカが「お前を支えてやるから、さっさと安倍派をつぶしてしまえ」と言われているのではないかと、私は思う。

 春闘の賃上げや、物価の上昇もみんな同じだ。アメリカの都合である。日本の給料があがらなければ、アメリカの製品が日本で売れない。アメリカの製品を買わせるためには日本人の給料を上げる必要がある。ロシアのウクライナ侵攻も同じ。ロシアのガスやほかの製品がヨーロッパ市場を占めてしまったら、アメリカの製品がヨーロッパで売れなくなる。ロシアの製品を買わせないようにするためには、ロシアを戦争犯罪人に仕立ててしまえ、ということである。そのためにウクライナのひとが犠牲になろうが、ヨーロッパで物価が上昇しヨーロッパのひとが苦しもうが関係ない。アメリカの製品が売れて、アメリカがもうかればそれでいい。
 ロシアのウクライナ侵攻以後、円安はどんどん進んでいる。円安が進めば(ドル高が進めば)、アメリカ製品は日本では売れない。アメリカ製品を売るためには、日本人の給料が上がらないことにはむりなのだ。なんでもかんでも、アメリカの都合なのである。春闘の「満額回答」も経営者側の判断というよりも、アメリカから「社員の給料を上げないなら、お前の所からは何も買わないぞ」と脅された結果かもしれない。
 私は「妄想派」の人間だから、どんな可能性でも考えてしまうのだ。
 アメリカの強欲主義は「グローバリズム」の名を借りて、世界を支配している。一部では賃金の上昇を大歓迎しているようだが、そんなものは商品の値上げ(物価上昇)で消えてしまう。物価が上昇し、喜んでいるのは、アメリカの産業だけである。金もうけをするには、コストダウンをはかる方法と、値段を上げる方法がある。アメリカの商法は、もちろん値段を上げ、利潤を増やすというとても簡単な方法である。彼らは金を持っている。金が足りなくなったら、何度でも値段を上げて金を稼げばいいだけである。
 これが、いま起きていることではないのか。

 


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