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詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

ロバート・ワイズ監督「サウンド・オブ・ミュージック」(★★★★)

2011-09-19 19:58:11 | 午前十時の映画祭
監督 ロバート・ワイズ 出演 ジュリー・アンドリュース、クリストファー・プラマー

私はオーストリア国民ではないのだが、クライマックスで大佐が「エーデルワイス」を歌いながら、感情がこみあげてきて、歌えなくなる一瞬に、いつも涙がこみあげてくる。何度見ても素晴らしい。事情を知らない(うすうす感じている)聴衆が共感し、大合唱にかわっていくのをみると「歌の力」を強く感じる。
 このシーンに限らず、歌が歌として歌われるというより、歌の力をアピールしているのが面白い。「ドレミの歌」もそうだけれど、「和音」さえわかれば歌ができるというのも。そして、歌を歌う前はまるで軍隊(軍人)のようだった子供たちがのびやかにかわり、その変化が大佐に影響するところも。音楽は、かたくななこころを和らげる――「教科書的」なメッセージだけれど。
 昔は気がつかなかったけれど。
 恋愛も丁寧に描いている。伯爵夫人がジュリー・アンドリュースと大佐の愛に気がついて、ジュリー・アンドリュースを追い出す(?)シーン。そして、大佐と別れるしかないとさとったときの台詞。「私は自分になびいてくれる人が必要だ。たとえ、それが私の金であっても」云々。あ、さすが「おとな」だねえ。こんなシーンがあるなんて、すっかり忘れていた。というより、若い時には見ても気がつかないシーンだが、こういうシーンがあるから、映画に「深み」が出る。そのとき伯爵夫人が大佐を「あなたは自尊心(自立心)が強い」云々と批評するけれど、それが批判ではなく、ナチスに抵抗して生きた大佐の生き方そのものを明確に浮かび上がらせているのも、なかなか丁寧な脚本だと思った。
 修道女見習いの若い女性が、子供たちに歌を教え、大佐と結婚し、スイスへ脱出する――と要約してしまうと、なんだか「絵そらごと」になってしまう。複雑な「おとな」の感情、やせがまんがあって、おもしろくなる。
 最後の方の、大佐の執事が「密告」したと暗示させるシーンや、長女の恋人のこころの揺れなども、短いシーンだけれど、脚本の丁寧さを感じる。
(「午前十時の映画祭」青シリーズ33本目。天神東宝3)



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