13 ヘクトルこそ
この四行目は、こう言いなおされている。
「背負う」は「身に引き受ける」。
書き出しで繰り返された「いちばん」は、どこかへ消えている。
「いちばん」は何と向き合っているか。どう、言いなおされているか。
「終わり」ということばと向き合っている。
「いちばん」は「始まり」、「始まり」の対極は「終わり」だ。
すべてのことは始まったときにはまだわからない。終わったときに、それがなんだったかがわかる。
「いちばんの英雄」「いちばん強い者」「いちばん賢い者」は、ことが終わったときにわかる。
「始まり」は特定できるが「終わり」は特定できるか。「終わり」はあるのか。
この詩の最終行は、こうである。
「終わり」は「終わることのない」ということばで引き継がれている。「終わり」はない。「始まり」はあるが「終わり」はない。
「終わることのない讃仰」、それこそが「いちばんの讃仰」という「意味」だが、「意味」で固定してはいけない。
「いちばん」と「終わり」、さらにそれを「終わることのない」ということばへ動かしていく運動、緊密なことばの変化こそが詩なのだ。
ホメロス語るいちばんの英雄は どんな英雄か
いちばん強い者でも いちばん賢い者でもない
人生がつまるところ敗けいくさだ と知りながら
運命を背負うことから 逃げることのない勇者
この四行目は、こう言いなおされている。
祖国の終わりを身に引き受けるヘクトルこそ その者
「背負う」は「身に引き受ける」。
書き出しで繰り返された「いちばん」は、どこかへ消えている。
「いちばん」は何と向き合っているか。どう、言いなおされているか。
「終わり」ということばと向き合っている。
「いちばん」は「始まり」、「始まり」の対極は「終わり」だ。
すべてのことは始まったときにはまだわからない。終わったときに、それがなんだったかがわかる。
「いちばんの英雄」「いちばん強い者」「いちばん賢い者」は、ことが終わったときにわかる。
「始まり」は特定できるが「終わり」は特定できるか。「終わり」はあるのか。
この詩の最終行は、こうである。
きみの高潔な魂への 終わることのない讃仰の燔祭
「終わり」は「終わることのない」ということばで引き継がれている。「終わり」はない。「始まり」はあるが「終わり」はない。
「終わることのない讃仰」、それこそが「いちばんの讃仰」という「意味」だが、「意味」で固定してはいけない。
「いちばん」と「終わり」、さらにそれを「終わることのない」ということばへ動かしていく運動、緊密なことばの変化こそが詩なのだ。
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