詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

谷川俊太郎詩集『虚空へ』百字感想(4)

2021-12-12 11:10:27 | 谷川俊太郎『虚空へ』百字感想

谷川俊太郎詩集『虚空へ』百字感想(4)

(明日より今日が)

明日より
今日が
大事

波立つ海
裸の子
歓声

いつまでも
新しい
夏の
姿

風は
発電し
獏は
夢に食傷


 「新しい」は形容詞。だが、ここでは動詞のように働く。「いつまでも/新しい」は「いつでも/新しくよみがえる」であり、よみがえるは「なる」でも「する」でもある。今日は、明日新しくよみがえる。だから大事。

 

 

 

 

(世間の罅)

世間の
罅から
世界が
覗く

日々に
かかずらう
私を余所に

無限の

永遠の

舌に
馴染まぬ
無味だけれど

 言い換えがある。「無限」は「永遠」、「幻」は「夢」。そこにかすかな「罅」。一方、反対のことばがつくりだす罅もある。「余所に」の反対は「馴染む」。「馴染まぬ」と書かれることで不思議な罅が生まれる。

 

 

 

 

 

(夜 座っている)


座っている
足下に
地球

頭上に
限りない
人外

夢に
たゆたう

かたわらに
想う
ひとりの
ひと

 そのひとは、かたわらにはいない。だから「想う」。そのひとは「人外」にいる。「想う」とき「夢」のようにやってきて、そこにいる。「たゆたう」は、このとき存在の証。動くものだけが命の証。そうこころは動く。


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