goo blog サービス終了のお知らせ 

詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

アルメ時代23 幸福

2020-01-07 09:22:12 | アルメ時代
23 幸福



「星のつまった袋を持っている
つまり宇宙を持っている」
と男はくりかえした
酔うとひとつの話しかできなくなる
「それは少し脳の形に似ている
つまり皺が入り組んでいて」
女の視線が動くのを待って
男の舌はゆっくりつづける
笑いをおさえるように
しばらくあともどりをする
「それは少し脳の形に似ている
そのためだろうか
ときどき 袋で考えることがある」
男のひとり笑いが
うすくらがりで吊るされて揺れる
女はよそを向いて
泡の消えたビールを決意のように飲む
「幸福を追い求める気持ちが
急にしぼんでしまった」




(アルメ245 、1986年11月10日)

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 嵯峨信之『OB抒情歌』(1... | トップ | 沢木遥香『わたしの骨格』 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

アルメ時代」カテゴリの最新記事