詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

Estoy loco por espana(番外篇173)Obra, Joaquín Llorens

2022-08-14 17:07:26 | estoy loco por espana

Obra, Joaquín Llorens

制作過程のホアキンとその作品。
作品を単独で見ると、大きさがわかりにくいが、この写真からはだいたいの見当がつく。
ホアキンの作品は、だいたいが身体になじむ大きさだ。
ここにも彼の作品のもっている親しみやすさの要素がある。

Joaquín en el proceso de producción.
Cuando la obra se ve sola, es difícil hacerse una idea de su tamaño, pero esta imagen da una idea aproximada.
Las obras de Joaquín son generalmente de un tamaño que se ajusta al cuerpo.
Este es otro elemento de la familiaridad de su obra.

作品は、とても不思議。
不安定なものが不安定なまま出会い、安定している。
作品の世界が閉じるのではなく、世界へ向かって開かれているからだろう。
作品が向き合っている空間が、作品の声を聞き、強い声を返してくる。
何かと対話している。
私は、この作品と向き合ったとき、どんな対話ができるか。
直接見てみたい作品だ。

Esta obra es muy intaresto.
Los partes inestables se encuentran con los partes inestables, pero el conjunto es estable.
Esto se debe probablemente a que el mundo de la obra no está cerrado, sino está abierto hacia el mundo.
El espacio al que se enfrenta la obra escucha la voz de la obra y devuelve una voz fuerte.
Está en diálogo con algo.
¿Qué tipo de diálogo puedo mantener con esta obra cuando me enfrente a ella?
Es una obra que me gustaría ver con mis porpios ojos.

 

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谷川俊太郎『となりの谷川俊太郎』

2022-08-14 16:44:59 | 詩集

谷川俊太郎『となりの谷川俊太郎』(ポエムピース、2022年07月16日発行)

 谷川俊太郎『となりの谷川俊太郎』は、短い詩120篇のアンソロジー。田原が選んだ。こういう詩集は、最初から読んでいくのではなく、なんとなく開いたところから読んでいく。行き当たりばったりで読んで、行き当たりばったりの感想を書く。読み落としがあっても気にしない。「となりの」谷川俊太郎なら、なおさらそうだ。読み落としたって、「知っている」。というか、どうしたって田原が選んでいない詩が詩集の中にまぎれこんでいる。「本人も知らない」のが「となりの他人」の実態だから。あるいは「となりの住人」というのは、そういうものを含んでいるのだ。つまり、谷川俊太郎以外、この詩集でいえば田原以外の人間をかってに含めて、私は谷川俊太郎を「となりの谷川俊太郎」と思っているかもしれない。

 204、205ページに「牛」という詩がある。

のっそりと牛がやって来た
後脚をひきずっている 顔色も悪い
十牛図から出て来たのだという
禅の修行もせずに牛に出会えたかと喜んで
牛に乗ってうちに帰ろうと思ったら
牛はひとり黙々と角の吉野家へ入って行く
偉いものだ 衆生のために我が身を捨てるとは
私は自分を捨てられない 悟りは遠い
この一年どうやって生き延びようか

 これはなんだろう。
 いろいろ気になることがあるのだが、特に気になるのが「牛はひとり黙々と角の吉野家へ入って行く」の「ひとり」である。
 牛が「ひとり」?
 ふつうは、一頭と数えるが、(あるいは、一匹が今風かなあ)、谷川は「ひとり」と書いている。
 そして、私はその「ひとり」につまずいてはいるのだけれど、読んだ瞬間の「つまずき」は、これは変だなあ、ではなく、「あ、ひとり」かと納得してしまったつまずきなのである。
 この詩では、絶対に、牛は「ひとり」でなくてはならない。
 なぜ、そう思ったのか。
 「牛に乗ってうちに帰ろうと思ったら」という一行があるからだ。谷川は「牛に乗ってうちに帰ろうと思った」が、それを牛は拒んだ。「私には行くところがある」。つまり、ここに「他人」が出てきている。そして、その他人は谷川と対立する。こういうとき、それは「ひとり」なのだ。「ひとり」とは「意思」であり、「思想」だ。
 「一頭」だと、たぶん、「拒否された」という感じがない。
 なぜなら、牛だからだ。牛と人間は、交流できない。こころの交流があるかもしれないが、そういうものは、なんというか「屁理屈」。あとから付け足した、後出しジャンケン。牛と人間は別の存在。
 その「別の存在」であるはずのものが、「別の存在」ではなく、谷川と「地つづき」になって、「地つづき」のところから「拒否」している。
 この切断と接続の一瞬が「ひとり」であり、それが「禅/思想」なのだと、私は納得したのだ。
 最後の三行は「意味」であり、「意味」である限りにおいて、それは付け足しである。「ひとり」ということばを書いたときに、詩は完結している。そういう「完結」を提示できるところが「となりの」谷川俊太郎でありながら、「となり」を超越している。そして、「となり」ではなくなることで、また「となり」になる感じがする。
 不気味と親しみ。

 

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アメリカナイズの問題点

2022-08-14 10:30:34 | 考える日記

 「台湾有事」は「アメリカの夢」と書いたとき、世界で起きているアメリカナイズについて少し書いた。アメリカナイズの「悪夢」が世界をおおっているというのが私の見方だが、それを証明するような事件が起きた。
 『悪魔の詩』の著者、サルマン・ラシュディがアメリカで刺された。容疑者の動機は不明(読売新聞)だが、『悪魔の詩』はイスラム教を冒涜している批判されており、そのことが関係するかのように報道されている。
 これが「アメリカナイズ」とどう関係するか。関係するのはイスラム教だろうと指摘する声が聞こえてきそうだが、私は「アメリカナイズ」のひとつととらえる。

 「アメリカナイズ」とはアメリカのスタイルが世界をおおうということである。この動きは「自発的」というよりもアメリカが要求しているものである。それに逆らって自分のスタイルをつらぬくことはむずかしい。そのアメリカナイズのいちばんの典型が「核武装」である。
 アメリカが核を開発し、広島と長崎でつかった。そこから「核軍拡」が広がった。これをアメリカナイズと呼ぶひとはいないが(いないと思うが)、私はそう呼ぶのである。
 核攻撃をされたら自分の国は滅ぶ。対抗するには核を持つしかない。核を持つものが世界を支配する。その主張をソ連(いまはロシア)がまねをし、イギリス、フランス、中国がまねをした。そのあと、イスラエル、インド、パキスタンとまねする国が出てきて、北朝鮮も核をもっているらしい。ほかにも計画している国がうわさされるし、なんといっても、いま世界の注目を集めているロシア・ウクライナ問題でも「ウクライナがソ連時代の核をもっていたら(ロシアに渡さなかったら)、今回の侵攻は起きなかった」という主張もある。ゼレンスキーが求めているのも核の後ろ楯であり、核武装だろう。ここからウクライナのNATO加盟申請が起きた。
 この背景にあるのは、武力のあるものが武力のないものを支配してもいい、あるいは武力で自分の望む「体制」(社会)をつくっていいという思想であり、アメリカ大陸に「アメリカ合衆国」ができたときの考え方を踏まえている。ヨーロッパからやってきた人間が、ヨーロッパ式の武器をもたないネイティブアメリカンを力で制圧し、そこに自分の国をつくりあげた。武力を「文化」と勘違いし、武力をもったヨーロッパ系の人間が、その価値観をアメリカ大陸、アメリカ合衆国に広げていった。
 ネイティブアメリカンを差別し制圧した後は、アフリカ系の人間を差別し、「奴隷」として酷使した。白人の「文化」がアフリカ系の「文化」よりすぐれているから、アフリカ系の人間を支配してもかまわないという思想だろう。これが根を張り続けて、アフリカ系アメリカ人への差別につながっている。白人警官がアフリカ系アメリカ人を死に至らしめた事件は、まだまなまなしい。ヒスパニックへの差別も根強く残っている。自分とは違う文化を生きる人間を差別するというのは、「アメリカ」という土地で増殖したのである。「差別の拡大」が世界のアメリカナイズの「象徴」である。
 そしてそのアメリカナイズの基本、アメリカの理想は「合理主義」である。いかに効率的に世界のシステムを支配するか。この「合理主義」というアメリカナイズが世界を席巻しているのだけれど、「合理主義」というのは「合理」にあわないものは排除することによって促進される。これが、さまざまな問題を引き起こすのだ。「合理」ではかたづかないものを抱えて生きるのが人間であり、不都合(不合理)を抱えながら共存するのが人間である。宗教、それにともなう様々な生活習慣は、ときに抑圧を生み出す。差別を生み出す。
 もしラシュディ襲撃がイスラム系の人間の犯行だとしても、それは、アメリカのアメリカの主張している主義以外は認めない(イスラム社会のあり方を批判、否定する姿勢)というアメリカナイズへの抗議というものだろう。アメリカが「多文化」の国ならば、こういうことは起きない。どの宗教にもそれぞれの主張がある。それを認めるという世界観がアメリカで実現されているのだとしたら、そしてそれが世界に広がっていたとしたら今回の襲撃は起きなかっただろう。アメリカは「人種の坩堝」ではあるかもしれないが、「多様な文化を許容する社会」ではない。マルチ文化を否定するのがアメリカナイズである。アメリカの文化にあわせろというのがアメリカナイズである。
 中国のチベットや新疆ウィグル地区への弾圧が話題になるが、これも、私の見方では「アメリカナイズ」のひとつである。中国で起きているから(中国政府が引き起こしているから)中国独自の問題に見えるが、根っこは同じ。「他文化の共存」を拒否する。「自分の文化」を押しつけ、支配する。アメリカがやっていることと同じ。
 アメリカは、それを「台湾」に強要した。それが「台湾有事」である。台湾の人が中国の経済政策(金もうけ)を選ぶか、いまのままの台湾方式を選ぶかは、台湾に住んでいるひとの問題であり、アメリカ人の問題ではない。
 こうした「他文化」を拒否する、「文化の多様性」を否定する動きを変えていくためには、アメリカがかわらなければならない。アメリカが「多国籍文化」にならない限り、アメリカナイズの弊害は発生し続ける。「なぜ、アメリカの主張する生活(文化)スタイルでないといけないのか。我々には我々の文化(生き方)がある」という抵抗が起きる。
 アメリカが核兵器を廃棄し、アメリカ人が中国人のように、世界中に出かけてゆき、そこに「アメリカタウン」をつくるようにならないかぎり、世界は滅びる。世界のどこへでも出かけ、そこであまりひとが好まないような仕事でもせっせとして金を稼ぎ、生活を安定させ、家族を呼び寄せる、「チャイナタウン」をつくってしまうという中国人の生き方が世界をかえていくだろう。いまは「チャイナタウン」だが、それは多民族をまきこんだ社会システムになっていくだろう。

 

 

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Estoy loco por espana(番外篇174)Obra, Jesus Coyto Pablo

2022-08-14 09:29:16 | estoy loco por espana

Jesusはフェイスブックで、こう書いている。
"Sobre el Mundo", fragmento.
Cuadro pintado por encargo para el cartel de Pasión en Salamanca.
Año 2019
Un rayo de sol en el ocaso incide sobre el borde a través de un ventanuco.
*
小窓から夕陽が一筋、キャンバスに降り注ぐ。
しかし、まるで最初から、その赤い色が存在したかのような感じがする。
この瞬間にしか存在しない「作品」。
この効果は作者の意図を超えていると思う。
だからこそ、楽しい。
時間が生み出した、新しい作品に、Jesus自身が驚いている。
この作品を、こうやって共有できるのは、とてもうれしい。

*

Sin embargo, me parece que ese color rojo ha existido desde el principio.
Una "obra" que sólo existe en este momento.
Creo que este efecto va más allá de la intención del artista.
Por eso es agradable.
El propio Jesús se sorprende de la nueva obra que el tiempo ha creado.
Estoy muy contento de compartir este trabajo de esta manera.

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