goo blog サービス終了のお知らせ 

ユーロな日々

blogの更新を終了しました。

クーマンとキケ

2008年02月06日 | 欧州2010-2003
goal.comに、スペインでの論争、クーマンは過大評価され、キケは過小評価されたのか、という記事がある。
http://www.goal.com/en/Articolo.aspx?ContenutoId=566968

ホアキンが今回マルカのインタビューで、監督に関して、こびへつらうことなく語ったところによれば、クーマンがきてからチームは悪化の一途をたどっている。
ホアキンは、チームが良くなるためのアイデアや、厳しい練習、組織としての一体感といったこと触れているが、しかし彼が直接言及しなかったことが、より多くのことを示唆している。
たとえば同じように不調にあるデポルティーボでは、選手たちは監督を擁護している。
ところがバレンシアではまったく正反対だ。監督をサポートしようという選手はほとんどいない。しかし彼らの多くは、前任のキケのためには多くのことをやったのだ。

キケはヘタフェから2005年にやってきて、2シーズン指揮をとり、3位、4位という成績を収めた。しかしチャンピオンズリーグではチェルシーに敗れてベスト16止まりだった。
しかもだんだん調子を落としてきて、今シーズンが始まると、僅差で勝点を拾うというゲームが多くなった。
そしてチャンピオンリーグでの状況はもっと悪かった。クーマンと違って、キケはグループステージで敗退の可能性があった。

結局のところソレール会長がキケの解任を決めた。この会長には誰も逆らえない。
キケがシーズン終了まで指揮をとっていたらどういう結果になったかは誰にもわからないが、しかしキケは厳しい姿勢で最後まで頑張ったろう。
だがファンの多くはキケに満足すことができなくなり、会長はその世論に飛びつき、嬉々としてキケを解任した。
こうした解任のやり方は、欧州のサッカー界でなくとも非常に屈辱的なものだったろうが、キケは開放されてほっとしたような表情だった。
そしてキケは、仕事は失ったが、人生を取り戻した、と言ったのだ。

それから、個々人に勝手な振る舞いをやめさせ、何事もチーム中心主義にかえるのが最善だと考える男がやってきた。
会長は熱心にクーマンを口説いたし、ファンの多くも確信はなかったにせよ、変革を歓迎した。クーマンのやるべきことは、リーガで上位を維持しながら、チャンピオンリーグで復活することだった。
ところがクーマンが就任すると、すぐに事態は悪化をはじめた。連敗し、チーム状態は低下、得点はできずで、キケの時よりもひどくなった。
2ヶ月が経って2勝目を上げたあと、クーマンは、劇的な変化が必要だと考えた。
そして、アルベルダ、アングロ、カニサレスの3人に、もう使わないと言った。
クーマンの考えははっきりしていた。自分も選手の大半も悪くない。ただこの3人がチームの弱点だった。だから監督として、彼らを使わないと決めたというものだ。

クーマンがこういう決断をしたことは責められないが、やり方はまずかったろう。
チームは混乱を続けている。3人はまだチームに在籍し、練習も行っている。ソレール会長の態度もはっきりしない。こういうひどいやり方に批判的な発言をする選手もいれば、沈黙を守っている選手もいる。

果たして、クーマンのやったことは必要だったのだろうか?
この3人に公然と屈辱を与えるこが重要だったのだろうか。確かにこの3人は調子を落としていたかも
しれない。ヒルデブラントのような新しい選手を使うべきでないというようなムードをつくっていたかもしれない。だから、そうしたことに楔を打ち込む必要があったとしても、こういうやり方がよかったのだろうか?

アルベルダが記者会見で見せた涙でわかるとうに、この3人の選手たちは本当にひどい痛手を受けた。
彼らをクラブから追い出すというこのひどいやり方は、多くの選手たちに影響を与えていることを、クーマンは理解しなければならない。
クーマンがこのことを理解できなければ、また同じことをやるだろう。そうなれば選手たちはまた不安になり、やる気を失うだろう。
冬の移籍マーケットでアルベルダとカニサレスが移籍するかどうか分からない。アルベルダは法廷闘争という予想外の行動にでている。つまりクーマンは彼らを屈服させることができなかったわけだ。そして自分のやったことについて、法廷であれこれ論争されることになるのだ。

ネスタージャの状況は大きく後退し、改善の兆しは見られない。その意味で、クーマンの招聘は失敗だった。
クーマンは、アルベルダとアングロで空いた中盤の穴を、マドロとべネガを使って事態を打開しようとしている。だが、ビジャやビセンテ、ホアキンが復調しないかぎりチームはよくならないだろう。
しかしビセンテは、次は自分の番だろうという発言をしてチームを緊張させた。ホアキンは例の発言で今後チームに残れるかどうかわからなくなった。

結局のところ、クーマンはチームに恐怖政治を持ち込んだだけで、チームには何ももたらさなかったのだ。
一方のキケは、多くを語らず、采配も大胆ではなかったので、彼が何をしようとしているのか分かりにくかった。
クーマンはいきないりやって来て、数ヶ月でいろんなことを打ち出し、その結果チームはひどい状況になった。クーマンがあとどのくらいバレンシアにとどまれるかは、彼ににチームを上昇させるための気概や才能が本当にあるのかどうかで、決まるだろう。