ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

3 キッズワインアカデミー 65ページ目

2009-10-27 23:09:48 | ワインバーでのひととき1~5アイデア集
【65ページ】


理事長   和さんに、喜んでもらってうれしいですね。

      さて、そろそろテイスティング対決をお願いしてもよろしいでしょう

      か?

和音    ええ。

理事長   フランスから、赤ワイン用と白ワイン用のブドウを各2種類取り寄せ

      ています。

      これらをフレッシュジュースにして、テイスティングによって、これ

      らのブドウから造られるワイン名を当ててください。

      まず赤ワイン用のブドウから始めます。

      和さん、どちらかのブドウを選んでください。

和音    右側のブドウで。

理事長   それでは、右側のブドウを先にジュースにします。


理事長の専属ソムリエが、右側のブドウをジューサーにかけた。そして、出来上が

ったブドウジュースを和音に手渡した。


和音    これは、正にブルゴーニュの赤ワイン用ブドウ品種のピノ・ノワール

      です。

      しかしこのピノ・ノワールからワイン名を当てるのは、不可能に近

      い。

理事長   それでは、ギブアップですか?

和音    生食用のブドウジュースに比べて、ピノ・ノワールのブドウジュース

      はとても酸味を強く感じる。まるで、口の中で酸味の兵隊が闘って

      いるようだ!


3 キッズワインアカデミー 64ページ目

2009-10-26 22:15:42 | ワインバーでのひととき1~5アイデア集
【64ページ】


理事長   和さん自身の意見は?

和音    3本目のワインも、理事長のワイン会にふさわしいものでした。

      惜しむらくは、バローロではなく、バルバレスコだったことですね。

理事長   お二人は、バルバレスコだと主張しています 。

      3本目のワインのラベルを見せてください!

卒業生   やはり、バルバレスコだ!

理事長   狩野さんの指摘通りでした。

      バルバレスコ・リコッサ2004年でした。

      どこかのタイミングで、バローロに変えて、バルバレスコを出すよう

      に、言っていたのです。 

卒業生   おや?

理事長   どうかしましたか?

卒業生   和さんの言葉で、惜しむらくの「惜し」は、04年にかけていたので

      すか? 


和音は、にこやかに笑っているだけだった。


理事長   和さんの、そこが神秘的なところですね。

      結局、和さんがバルバレスコのヴィンテージを当てていたのか、おい

      しく飲んでいただけなのか我々にはわからない!


その後も理事長のとっておきのバローロを楽しんだ!


和音    とてもおいしいバローロの数々でした。
、       

3 キッズワインアカデミー 63ページ目

2009-10-25 23:03:34 | ワインバーでのひととき1~5アイデア集
【63ページ】


和音    子供達は、ワインを飲めませんよね?

理事長   ええ、だからワインの原料のブドウ品種を現地から取り寄せるので

      す。

      それらをブドウジュースにして、テイスティングします。

卒業生   私も生徒の時、ブルゴーニュの各地区のピノ・ノワールのジュースを

      訓練のため、徹底的にテイスティングしたことがあります。

理事長   この訓練は、大人になってからのソムリエとしてのテイスティング力

      を高めるのです。

      さあ、3本目のバローロを飲みましょう!


社長の専属ソムリエによって、3本目のワインが注がれた。


和音    このワインもとてもおいしいですよ。

      まるでビロードのようになめらかな味わいだ!

卒業生   おや、ちょっと待ってください!

      バローロは、ネッビオーロ種から造られます。

      確かに、このワインは、ネッビオーロ種です。

      しかし、この繊細な味わいは、バローロ ではなく、バルバレスコだ  
      と思うのですが。

理事長   和さんは、どう思われますか?

和音    狩野さんは、ブドウ品種や生産地について精通しているので、正しい

      と思いますよ。

3 キッズワインアカデミー 62ページ目 

2009-10-25 19:55:57 | ワインバーでのひととき1~5アイデア集
【62ページ】

理事長   日本で発売されているバローロだけでも50数種類あるのですが、お

      いしいバローロを探すのは、私にとっては、楽しいことです。

      バローロ・テッレ・ディ・ボーも探しだした一つで、収穫時期を遅ら

      せているので、とても果実味の凝縮感があるでしょう?

和音    そうですね。

      ところで理事長、キッズワインアカデミーの創立を思い立ったきっか

      けを教えていただけませんか?

理事長   親父の会社を継いだ後、上場を果たし、会社の業績があがったので、

      社会貢献を真剣に考えるようになったのです。

      ワイン好きの私は、ワインと社会貢献を結びつける方法を模索してい

      ました。

      そんな時、あるワイン雑誌の記事が目に止まったのです。

和音    どのような記事でした?

理事長   「日本人のソムリエのサービスの技術やテイスティング力は非常に向       
      上した。しかしワイン王国の語学や歴史や芸術や文化的な知識を身に

      つけたソムリエは少ない」という記事でした。

      そこで、子供の頃から、欧州の語学や、本物の芸術や文化を学び、ソ

      ムリエとしての基礎知識をつける学校を思い立ったのです。

和音    それが、今のキッズワインアカデミーなのですね?

理事長   ええ。

      

3 キッズワインアカデミー 61ページ目

2009-10-25 06:20:57 | ワインバーでのひととき1~5アイデア集
【61ページ】


和音   イタリアワイン派になったきっかけは?

理事長  料理からでしょうか。

     若い頃から、フランス料理よりもイタリア料理の方が口に合うのです。

     だから飲むワインもイタリアワインが多かったのです。

     決定的になったのは、イタリア旅行で、本場のピザの味に感動したから

     です。 

     ピザ、パスタ、新鮮な食材を使ったイタリア料理、そしてイタリアワイ

     ン。その後、すべてが私を虜にしていったのです。

卒業生  イタリア旅行は一人で行かれたのですか?

理事長  新婚旅行でした。

     二人で、ディナーを食べた時に、注文したワインがバローロでした。

     バローロは、旅行中に飲んだワインの中でも最高のおいしさでした。

     この時から、私も妻もバローロが一番のお気に入りのワインになったの

     です。 

     さあ、2本目のバローロを飲みましょう。


理事長の専属ソムリエによって、2本目のバローロが抜栓された。


和音   これも先ほどのバローロに負けず劣らずおいしいワインですね。

     味のバランスは、お見事です!

理事長  和さんに、誉めてもらって嬉しいなあ!

     これは、バローロ・テッレ・ディ・ボー2003年です。

卒業生  イタリアワインもブルゴーニュワインと同様に、ワイン名が同じでも

     造り手は、何十人もいます。

     おいしいワインを探す楽しみもあり、難しさもありますね?