ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

ワインバーでのひととき ファースト(改訂) 114ページ目 ペトリュスのなぞ? 

2012-05-23 23:16:26 | ワインバーでのひととき1改訂四話 完
【114ページ】


「さて長尾社長、2戦目はペトリュスでないワインをテイスティングに出したということで

私の失格負けです。これで1勝1負の引き分けになりました。」

「私の会社との業務提携をお願いできるのでしょうか?」

「勿論です。契約書にサインをして、お祝いをしましょう!」


 ペリーは、2本目と3本目の開栓されているワインを見た。


「お祝い用のワインは開けてしまっていた・・・・・。」

「私もお祝い用として2,000年のペトリュスを用意しています。しかし1945年

のペトリュスもぜひ飲ませてください!」長尾が言った。


 テイスティング対決を終えた和音は、ホテルのスイートルームから退席した。

和音を見送った二人は、早速業務提携の契約書のサインを取り交わした。

二人が業務提携合意のお祝いのワインを飲んでいる時、ペリーに電話が入った。


「オークションに出品された方からお詫びの電話がありました。」

「ペトリュスでないワインが混じっていたのだろう?」

「そうです。3本の1945年のペトリュスの内1本が出品者の父親が造った

ワインだったそうです。 落札金は全額返金させていただくとのことです。」


 電話は、ペリーの秘書からであった。


「手違いの理由についても話があったかね?」

「はい、出品者の息子さんが、プライベートパーティーで家にあったペトリュス

3本と祖父の造った3本のワインを飲もうとしたそうです。遅れて来た友人が、

1945年の高額なペトリュスに気付いた時には、ペトリュス1本と祖父のワイン

2本を空けていました。」