ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

ワインバーでのひととき ファースト(改訂) 113ページ目 ペトリュスのなぞ? 

2012-05-22 23:08:52 | ワインバーでのひととき1改訂四話 完
【113ページ】


 和音は、テーブルに置いたワイングラスを再び手に持ち上げた。

そして、目を閉じワインのテイスティングを行なった。


「ところが・・・・・・」


 和音の目の前に、1945年のヴィンテージがくっきりと浮かんできた。

次にPETRVSの赤い文字が浮かび、ラベルのペトロの人物のイメージも湧いた。

彼の右手には、しっかりと鍵が握られている!


「二つ目の年代は、1945年です。」


 和音は、目を開き言葉を発した。


「1945年のペトリュスには1本500万円近い値段が付けられる時もあります。

1945年は、マダム・ルバがペトリュスの単独所有者になった記念すべき年なのです。

彼女のすごいところは、ペトリュスが世界最高のワインであると信じて、決して安売り

しなかったことです。」


「和音さん、このワインはペトリュスですか?」ペリーが聞いた。


 和音は、グラスの残りのワインを飲み干した。


「これは、テイスティング対決で飲み干した2杯目のワインです。ペリーさんのお陰で

最高のワインを2種類味わうことができました! これは正真正銘の1945年の

ペトリュスです。 ペリーさんも確認してください!」

「いえ、和音さんのテイスティングを信じます。 3本の1945年のペトリュス

をオークション落札したつもりが、なぜこのようになったのでしょうか?」

「ペトリュスに勝るとも劣らないすばらしいワインの造り手に悪意はないと思います。」