ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

ワインバーでのひととき ファースト(改訂) 109ページ目 ペトリュスのなぞ? 

2012-05-15 20:22:54 | ワインバーでのひととき1改訂四話 完
【109ページ】


「このワインは、数学の先生に『1+1はいくつですか?』と聞くようなものだ!」


ペリーの声は、怒りで震えていた。


「私は、このワインでメッセージを伝えたつもりですが?」

「メッセージ?」


ペリーは、ワイングラスを再び手に取り、一口飲んだ。


「このペトリュスのヴィンテージは、2,000年だ! 私のようなペトリュス通でなくても

一流のソムリエなら誰でも当てることができる100点満点評価の偉大なヴィンテージだ!」


ペリーは、さらに一口飲んだ。

それまで、険しかった表情が、穏やかになった。


「長尾社長のメッセージを受け取りました!しかしこのメッセージのために、長尾さんは、

勝ちを放棄しました。」


ペリーは、和音に目をやり、話を続けた。


「私との業務提携のためには、私のペトリュスのヴィンテージを当て、引き分けに

持ち込まなければなりません。」


「すべて和音さんに任せます。 それで負けても悔いはありません。」


「こちらに紙に覆われた3本のペトリュスがあります。これらは、同ヴィンテージで

オークションで落としたものです。もしこのワインのヴィンテージを当てることが

できたら、業務提携を祝って、残りの2本を飲みましょう。」


ペリーは、紙に覆われた1本のペトリュスを手に取った。


「もし和音さんがヴィンテージをはずしたら、残りの2本は長尾社長のメッセージへの

お返しとしてプレゼントしましょう。」