ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

ワインバーでのひととき ファースト(改訂) 105ページ目 ペトリュスのなぞ? 

2012-05-08 23:11:53 | ワインバーでのひととき1改訂四話 完
【105ページ】


「2,000年のペトリュスを用意してください!」

「ええ?2,000年?」


長尾は、驚いた声をあげた。

彼は、オールドヴィンテージのペトリュスを予想していた。

例えば市場価格約160万円の1,950年のペトリュスや約250万円の1,961年の

ペトリュス等・・・・。

160万円とか250万円というのは、1本のペトリュスの値段である。


「2,000年は、確かに100点満点の最高の評価をされているヴィンテージですが・・・」


和音は、ただにこやかな表情を見せうなずくのみであった。


「100点満点の2,000年のペトリュスは、ペリーさんは何度か飲んでいるはずです。

すぐにヴィンテージを見破られますよ!」

「ペリーさんとの勝負は引き分けでもいいのでしょう?2,000年のペトリュスには

あるメッセージを込めたつもりですが?」


「あるメッセージ?」


 長尾は、額に左手を当て、考える仕草をした。


「2,000年のペトリュスは最高の評価を受けているが、10年、20年先には

熟成によってさらにおいしくなる。ペリーさんとの提携もこのワインのように

長く提携を続け、さらに良い関係を築きたいというメッセージですか?」

「ペリーさんならメッセージを受け取ってくれるでしょう。」

「すると、引き分けるにはペリーさんの用意したペトリュスのヴィンテージを当てないと

いけませんね?」