ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

ワインバーでのひととき ファースト(改訂) 42ページ目 女性ソムリエとの出会い

2012-01-28 20:29:48 | ワインバーでのひととき1改訂四話 完
【42ページ】

 和音は、ニッコリ頷いた。

「マスター、新しいグラスにもう一度注いであげて!」

マスターは、シャトー・ムートン・ロートシルト2003年を新しいグラスに注いだ。

ラベルを手で隠しているが、貴族風の男性が椅子に座ってバックが契約書のデザイン

になっている。


「どうぞ」

良子は、新しいグラスを手に取ると、慎重にテイスティングをおこなった。

和音は、その様子を微笑みながら眺めている。

「とても複雑な香りがするわ! 焼けた土壌のような香り、木炭のような香り、

カシス、甘草のような香りも・・・」

良子は、香りの感想を述べた後、一口含んだ。

「しっかりとしたタンニンだわ!濃厚でタニック、力強く、とてもスケールの大きな

ワイン。今後の熟成によってどれほどのモンスターになるのか計り知れない」

良子は、うっとりするような目つきでグラスを見つめ、さらに一口飲んだ。

「ボルドーメドックの五大シャトーのひとつでは?」

「正解です!」

マスターが答えた。

「五大シャトーのどのシャトーだと思いますか?」

「タンニンの強さを感じるのでカベルネ・ソーヴィニヨンのブレンド比率が

高いと思うの。するとシャトー・ラトゥールかシャトー・ムートン・ロートシルト

では? 私の今の実力ではここまでだわ! 五大シャトーのテイスティングの機会は

滅多にないので・・・」



※シャトー・ムートン・ロートシルト2003年の良子のテイスティングコメント

は、ネットのシャトー・ムートン・ロートシルト2003通販コメントを参考に

させて頂きました。