ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

ワインバーでのひととき ファースト(改訂) 32ページ目 若手天才ソムリエシュヴァリエ来日  

2012-01-09 08:24:40 | ワインバーでのひととき1改訂四話 完
【32ページ】


 「お礼を言わないといけないのは私のほうです。最高のワインと最強のテイスティング

対決のライバル、思い出に残るワイン会でした。」

和音はルヴォル大使に感謝の言葉を述べた。

「和さん、シャトー・ムートン・ロートシルト2003年を持って帰ってください!」

「オーサンキュー! 当り年のヴィンテージですね?」

「この2003年は、正真正銘の2,003年だよ!」

ルヴォル大使は、笑いながら言った。


 それを聞きたシュヴァリエは、おや?という顔をした。

その後、ルヴォル大使は、和音を玄関まで見送った。

大使が、部屋に戻って来ると、シュヴァリエは、疑問をぶつけた。

「ルヴォル大使、和音さんにシャトー・ムートン・ロートシルトを手渡した時、

『この20003年は、正真正銘の2,003年だよ!』と言っていましたね?」

「ああ、そう言った!」

「あれは、どういう意味なのでしょうか?」

「テーブルに置いてある和さんの答えを見ると判るよ!」

ルヴォル大使は、回答の紙を指差した。

シュヴァリエは、その紙を手に取り、和音の答えを見た。

「ワイン名はシャトー・ムートン・ロートシルト、ヴィンテージはピカソの1970年

と書かれています。」

そう言った後、シュヴァリエは、しばらく黙ってしまった。