ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

ワインバーでのひととき ファースト(改訂) 33ページ目 若手天才ソムリエシュヴァリエ来日 

2012-01-10 20:46:38 | ワインバーでのひととき1改訂四話 完
【33ページ】


 「1970年はシャガールのデザインのラベルだが・・・・。」シュヴァリエは胸の中

で考えていた。

「シュヴァリエ、ワインを覆っている紙を取りなさい!」

シュヴァリエは、3本目のテイスティングのワインを手に取り、紙を取り払った。


「あっ、ピカソのラベル!」シュヴァリエは驚いた。

「ピカソだとヴィンテージは1973年?」シュヴァリエは首を大きく振った。

「いや、私の答えの1970年には、自信がある! そして和音さんも1970年と

答えている。 これはどういうことですか?」


 ルヴォル大使は、にこやかに話を聞いているだけであった。

シュヴァリエは自身の力で、この疑問を解かなければならなかった。

「なぜ和音さんがピカソの1970年と書いたか? ピカソとシャガールの勘違い?」

シュヴァリエは、頭を横に振った。

「勘違いでなく、ピカソと1970年の両方正しいということは? あっ!」

「判ったようだね?」

「1970年のシャガールのラベルを剥がし、ピカソのラベルに張り替えたのでは?」

ルヴォル大使は頷いた。

「しかし、和音さんは、ラベルの張替えをどのように見抜いた?」

「それは、なぞだね! ただ考えられるのは・・・・・。」

「考えられるのは?」

シュヴァリエは大使の答えを待った。