@日本語の難しさ、それは多くの比喩した感情の言葉があるからだ。現代でも使われている日本語と言うが漢字検索でも出ない言葉も多々ある。現代人には口語で使っても通じない言葉もちらほらあると感じたが、日本語の「感情を表す」豊富さに驚く。 「喜怒哀楽」の表現が多い日本語は不思議だ。
『気持ちを表す言葉の辞典』飯間浩明
喜怒哀楽をはじめ、人間の感情を表すことばには、さまざまな表現があります。
ー感情の言葉
喜ぶ 愉悦に感じる・糠喜び・喜び勇む
怒る 癇に障る・憮然とする・青筋を立てる・業を煮やす・憤怒にもえる
悲しい もの悲しい・悲嘆に暮れる・嘆かわしい・悲痛・沈痛・しめやか
楽しい 謳歌する・満喫・和気藹々・享楽・快楽・極楽・愉快
寂しい・怖い 戦く・畏怖する・震慄する・怖気ずく・鬼気迫る・怖々
人恋しい・寂寞・侘しい・膝を抱える・哀愁・旅愁
肝がんの至・忸怩たる思い・斬鬼に耐えない・決まりが悪い
照れる 面映い・ハニカム・モジモジする・気恥ずかしい・くすぐったい
恋する 慕う・思慕・恋慕・焦がれる・見初める
夢中になる 時を忘れる・熱に浮かされる・溺れる・無我夢中・首っ丈
好き 愛慕・愛しい・愛着がある・好感を持つ・憎からず思う
熱中する 寝食を忘れる・入れ込む・熱狂する・没我
疲れる 草臥れる(くたび)・顎を出す・精も魂も尽きる
悩む 難儀する・煩わしい・懊悩する・気に病む・思い詰める・物思いに耽る
心配になる 気もそぞろ 憂惧する 憂える 憂慮する
不安になる 危ぶむ 案ずる 心許ない 心を痛める
安心する 安らぐ 心丈夫 安堵する
苦しい 悶える 悶々 身悶える 憂苦 艱難 思い煩う ひもじい
辛い 掻きむしられる 憂き目を見る 見るに忍びない 断腸の思い
切ない やるせない 胸が締め付けられる やりきれない キュンキュン
満足する ほくほく 会心 満悦 悦楽 気が済む 御の字
焦る まだるっこい 逸る 焦燥する 気が急く 気忙しい もどかしい
疑う 訝しい 疑念を抱く 半信半疑 疑心暗鬼 猜疑の念 うろん(胡乱)
驚く 肝を潰す 度肝を抜かれる 衝撃を受ける 脅威 雷に打たれる
腰が抜ける 愕然とする 驚嘆する 唖然とする 圧倒される
呆れる 呆気に囚われる 呆然とする 性懲りも無く キョトンとする
緊張する 張り詰める 気を張る 固唾をのむ タガを締める
興奮する 込み上げる はやり立つ たけりたつ 高揚する 感情を昂らせる
期待する ワクワクする 待ち望む 待望する 心が騒ぎ立つ 指折り数える
失望する 落胆する 暗然 肩を落とす 暗澹(あんたん)失意に沈む
嫌い 反吐が出る いけ好かない 疎ましい(うと)愛想が尽きる
憎い 憎々しい 憎悪する 面にくい 厭わしい(いと)不倶戴天
恨む 怨恨、遺恨 根に持つ 妬む 恨みつらみ 恨めしい 呪う
悔しい 口惜しい 悔恨する 牙を鳴らす 切歯扼腕(せっしやくわん)
妬く 嫉む(そね) 僻む(ひが)岡焼き 凛気を起こす やっかむ 妬心
残念に思う 遺憾 無念 名残 憾み(うら)本意ない
懐かしい 偲ぶ 追憶 追想 追懐 回顧 顧みる 懐古
魅せられる とろける 魅了される 酔う 恍惚とする 陶酔する 痺れる
憧れる 羨望 羨む 憧憬 垂涎の的 傾倒する 心酔する
傷つく 傷心 凹む 挫ける ちくちく 痛手を受ける トラウマになる
後ろめたい やましい 気が差す 後ろ暗い 人目を憚る 罰が悪い
飽きる 倦怠 食傷 げんなり 所在がない 興醒めする 飽き飽き
敬う 一目を置く 敬意を払う 仰ぐ 崇める 敬服する 敬慕する
つまらない 味気ない 退屈 無味乾燥 甲斐がない 眠気を誘う
感動する 琴線に触れる 脳裏に焼きつく 感銘を受ける 心を動かされる
胸を打たれる 胸が熱くなる 感慨に耽る しみじみ グッとくる
感じ入る 感極まる 感に堪えない 感嘆 感服 感無量 共感する
誇らしい 意気揚々 得得とする 優越感を抱く 晴れがましい 得意満面
自慢する 鼻高々 したり顔 誇る 鼻にかける 思いあがり
同情する 労しい 気の毒 痛ましい 他人事とは思えない 情けを掛ける
情けない 浅ましい 不甲斐ない しがない みうずぼらしい 儚い 惨憺
満たされない 不本意 しこりが残る 飽きたらない 呆気ない
納得できない 釈然としない 意に沿わない 解せない 合点がいかない
感謝する 恐れいる 痛み入る 恐悦至極 身に余る 恐れ多い 忝い
面白い 剽軽(ひょうさん) 興に入る 臍で茶を沸かす 滑稽
ー気分の言葉
気分が良い 快感 快い 爽快 心地よい 痛快 快適 清々しい 爽やか
浮かれる 舞い上がる 晴れやか 鼻歌混じり 心が浮き立つ 陽気
落ち込む 愁い しおれる 憂鬱 鬱ぐ(ふさ)物憂い(ものう)鬱々とする
苛立つ 焦れる 苛立たしい 歯痒い いざったい カリカリする
不愉快 臍を曲げる 気を腐らせる 苦々しい 胸糞が悪い 虫唾が走る
機嫌を損ねる わだかまり 後味が悪い 心地が悪い
ー心の言葉
揺れ動く 心を躍らせる 心が惹かれる 弾む 解ける 乱れる 震える
奪われる 騒ぐ 心留まる 沁みる 心急く 心ここに在らず 心しぐる
思いやる 心を砕く 心を致す 心が篭る 心無い
ー気の言葉
気 気が紛れる 気が軽い 気が張る 気が引ける 気が滅入る 気が詰まる
ー状態・様子の言葉
落ち着いた 悠然 平然 悠々 泰然自若 安らか 和やか 物に動じない
落ち着かない あくせく ウロウロ マゴマゴ ソワソワ オタオタ
平気な様子 事も無げ 無頓着 けろり 平気の平左 恬然(てんぜん)
スッキリ 晴れ晴れする 清清する 気が晴れる 溜飲が下がる 胸がすく
はっきりしない 有耶無耶 曖昧 もやもやする どっちつかず 漠然
おぼつかない 煮え切らない 捉えどころがない 不得要領 優柔不断
涙を流す シクシク ポロポロ 啾啾 おいおい さめざめ 滂沱(ぼうだ)
怖がる 罠わな おどおど オロオロ 恐怖に包まれる
小言と言い訳 ぶうぶう ボソボソ くどくど ブツブツ 歯切れが悪い
しどろもどろ 尖り声 声に棘がある
ー気性・性質の言葉
気性と性質 意固地 肝が据わる 頑な 気高い 無邪気 烏滸がましい
臆病 不実 飽きっぽい 卑怯 厚顔 引っ込み思案 野暮
ー程度の言葉
程度 無性に 極めて ひたすら 全身全霊 この上もない 限りなく
能う限り 遮二無二 露骨 こよなく 甚だしい
ー行動の言葉
笑う 微笑む 口元が綻ぶ 相好を崩す 顔を綻ばせる 破顔する
嘲笑う 冷嘲する ほくそ笑む 晎笑する 莞爾とする ヤニ下がる
泣く 慟哭する 目頭が熱くなる 目が潤む 嗚咽する 声が潤む 涙に咽ぶ
涕泣 泣き崩れる 泣き沈む 啜り泣く 泣き伏す 忍び泣く むずかる
見る 背ける 付ける 見開く 守る 奪われる 見惚れる 敵にする 瞥見
凝視する 見入る 睨みつける 上目使い 見合わせる 虎視眈々
声に出す 2つ返事 愚痴をこぼす 唸る 歓呼する ぼやく 弱音を吐く
惚気る(のろけ) 嘆声をもらす 声を弾ませる 曇らす 猫撫で声
喜びのあまり 手舞足踏(しゅぶそくとう) 欣喜雀躍(きんきじゃくやく)
小躍り 随喜の涙 はしゃぐ 狂喜乱舞 呵々大笑 抃舞する
聞く・聴く 耳障り 聞き惚れる 聞き捨てる 聴き過ごす 聴いて呆れる
耳をそば立てる
慌てる 度を失う 面食らう あたふたする 泡を食う 狼狽える 取り乱す
狼狽する 倒けつ転びつ
態度が大きい 愚弄する 驕慢 虚仮にする(こけ)鼻であしらう 人を食う
信じる 妄信する 真に受ける 過信する 確信する
不機嫌になる 風向きが悪い ご機嫌ななめ 仏頂面 顔を顰める 拗ねる
怒りが現れる 血相を変える 癇癪を起こす 怒りが爆発 逆上 憤怒の形相
堪忍袋の緒が切れる 当たり散らす
不満を表す 役不足 渋々 心ならずも ふくれっ面 剥れる 地団駄を踏む
気色ばむ 捨て台詞を残す
迷う 左顧右眄 思いあぐねる 思案に暮れる 躊躇う 逡巡する 彷徨う
我慢できない 忍びない 見るに耐えない 堪らない 喉から手が出る
恐れのあまり 恐れ慄く 戦慄を覚える 鳥肌が立つ 戦慄く(わなな)
身震いする 怖ず怖ず 総毛立つ 物怖じする
ー体の言葉
頭 頭が重い 頭が上がらない 頭を冷やす 頭を抱える
顔・面 顔を曇らす 顔から火が出る 顔負け 頬を赤らめる 喜色満面
髪・毛 怒髪天を衝く 髪の毛を逆だてる 後ろ髪を引かれる 白髪三千丈
身の毛がよだつ 鼻毛が長い 旋毛を曲げる
眉 眉を曇らす 眉根を寄せる 柳眉を逆立てる 眉唾物 八の字眉 愁眉
目・まなじり 目に余る 目が泳ぐ 目を三角にする 目を皿にする
目を見張る 目を輝かす 眦を下げる 眦を決する
口・唇・嘴 口を尖らす 開いた口が塞がらない 口を濁す 唇を噛む
嘴が黄色い 嘴を鳴らす 唇を返す
歯 歯を出す 歯を噛む 歯を食いしばる 奥歯にものが挟まる
歯が浮く 歯軋りする 歯牙にも掛けない
耳 耳が痛い 耳に逆らう 耳を疑う 耳に立つ 聞き耳を立てる
耳にタコができる 耳を澄ます 耳を塞ぐ 耳に付く 耳苦しい
鼻 鼻が高い 鼻に付く 鼻持ちならない 鼻を蠢かす 鼻が凹む 鼻白む
鼻息が荒い 鼻で笑う 鼻が明く
手 手を打つ 手を合わせる 大手を振る 手をこまねく 心手を加える
足 足が地につかない 足がすくむ 二の足を踏む 足蹴にできない
胸 胸を貫く 胸が詰まる 胸を躍らせる 胸が騒ぐ 胸に溢れる
胸を刺す 胸が痞える 胸を反らす 胸を焦がす 胸を撫で下ろす
腹 腹が黒い 腹に据えかねる 腹が据わる 腹に落ちる 腹を括る
息 息を凝らす 息を吐く 息が詰まる 息を呑む 息筋張る 青息吐息
血 血湧き肉躍る 血が騒ぐ 血が沸く 血も涙もない 血走る 血眼になる
血道を上げる 血の気がひく 血の滲むような
涙 涙を飲む 涙の雨が降る 涙ぐましい 有り難涙 暗涙 泣の涙 感涙
身 身を焦がす 実を粉にする 憂き身を窶す 身につまされる 身骨を砕く
身を入れる 身を抓む 肩身が狭い 身を引き締める
ー季節の言葉
春・夏 春めく 春眠 山笑う 長閑(のどか)梢の夏 春愁 春色 山滴る
秋・冬 悲秋 秋の空 秋めく 秋の香 秋風が吹く 秋色 秋の声
秋思 山装う 秋麗 寒露 心の秋 身に入む 枯野 秋爽 山眠る
ー気象の言葉
雲 靉靆(あいたい)暗雲 鱗雲 雲海 浮雲 東雲
叢雲(むらくも) 青雲
風 風冴ゆ 風光る 風薫る 東風(こち)木枯らし 空風 北風
雨 卯の花腐し 翠雨 春時雨 洒涙雨 五月雨 甘雨 氷雨 鬼洗い
ー色の言葉
いろいろな色 色良い 色合い 色めきたつ 色をなす 色づく 色褪せる
赤 赤恥を描く 赤烏帽子 赤貧 赤心 赤裸々
青 青山 青菜に塩 青二才 青天白日
白と黒 白々しい 白日 白糸 暗黒 どす黒い 黒白を争う(こくびゃく)
ー音の言葉
音 煩音 喧騒 快音 哀調 好音 潮音
ー数の言葉
数 一喜一憂 一日三秋 一笑に付す 一条の光 一心不乱 四の五の言う
二の句が継げない 五臓六腑が煮え返る 七転八倒 七難八苦 九腸寸断す
ーたとえの言葉
たとえ 堰を切ったよう 砂を噛むように 石に齧りついても 平蜘蛛のよう
能面のよう 親の仇のよう 竹を割ったよう 泥のように眠る
紅葉のような手 湯水のように使う 火の消えたよう 綿のように疲れる
取って付けたよう 影の形に添うよう 絵に書いたように 水を打ったよう
ー言葉にならない
言語を絶する 言うに言われぬ 筆舌に尽くし難い 言葉に尽くせない えも言われぬ